第三章 アカツキ

01

 全日本バスケットボール育成プロジェクト、通称・アカツキ。


 アカツキには全寮制のアカデミーが初等部、中等部、高等部と存在し、それがそれぞれの学校の代わりとなる。


 とはいえここはバスケ選手を育成する場所。


 最低限の授業などはあるものの、バスケの練習がほとんどである。


 ……と、俺はこの1週間で学んだ。


 アカツキにきてから1週間。


 俺は課題であるドリブルに、少し苦戦していた。


 練習は計3時間で行っている。


 そのうちの30分間が課題のドリブル練習の時間で、メニューはこうだ。


 まず最初の10分間は鬼ごっこ。


 次に単純なドリブル練習を10分間。


 次はドリブルしながら迷路でタイムアタックをする練習を5分間。


 最後にかけ声でドリブルを切り替える反応ドリブルを5分間。


 ミスしたって怒られるわけではないが、ただ、うまくできないのはなかなかメンタルにくる。


 最初にやる鬼ごっこのルールは、俺、ハル、シノの3人は逃げる側で、先生が鬼。


 逃げる側の俺たちは、ドリブルをしながら逃げる。


 もしボールを持ってしまった場合、ダブルドリブルをした場合などには、即座にドリブルを開始して良いが、最後にミスした回数をアナウンスされ、その分走る。


 ちなみにミスは、NBAなどのプロの公式試合で審判を務める人たちを解析してAIが判断しているらしい。


 先生はドリブルをせず、ただボールを取るためにドリブルの妨害をしてくる。


 俺たちはボールを取られないように必死にドリブルしながら逃げて、取られたらその場で5回高くジャンプをする。


 範囲はスリーポイントラインの内側。


 その狭い範囲で、逃げる3人と追いかける1人で、ドリブルしながらの鬼ごっこ。


 ……正直、きつい。


 小学1年生の未熟な手、足、肉体。


 心肺機能だってまだまだ未熟で、毎日の疲れがひどい。


 ……その分感動するのは、その疲れが毎日眠ればとれることだけれど。


 ドリブル鬼ごっこが終わったら、1分間の休憩を取って再開。


 次はジグザグドリブルやスピードに緩急をつけたドリブル、体幹トレーニングを取り入れたドリブルなど、さまざまなことを約10分。


 もちろん疲れはするが、心理的には休憩時間のようなものだ。


 とにかく、ドリブル鬼ごっこがキツい。


 次は迷路タイムアタック。


 最初に今日の迷路の地図を10秒間だけ見て、タイムアタックをする。


 いつも迷路の答えは違う。


 どうやら簡単に組み立てられるセットを使っているようだが、それにしたって労力がかかっているな、とは思う。


 最後は反応ドリブル。


 先生の声がけでフロントチェンジ、バックチェンジ、レッグスルー、ジョルト等を行う。


 フロント、と言われたら次の合図があるまでフロントチェンジ。


 バックも同様。


 レッグスルー右と言われたら右足、レッグスルー左と言われたら左足を前に出す。


 ジョルトも同じく、ジョルト右、ジョルト左と指示を出される。


 失敗しても見向きもされない。


 その緊張感が、俺たちの集中力を高めていく。


 毎日のドリブル練習は、こうして終わる。


 珍しい練習といえば、フーバスキルだ。


 スイス発祥のバスケとサッカーが組み合わさったスポーツで、2015年に開発されたようだ。


 チームはジャンケンで決め、先生を含めた2vs2。


 ハーフラインを境目に、バスケとサッカーを切り替える。


 前半の5分間は片方のチームがバスケットゴールを狙い、サッカーゴールを守る。


 後半の5分間で役割を交換。


 ボールはバスケットボールではなく、フーバスキル用に作られたバスケットボールとサッカーボールが融合した物だ。


 これが何気に面白い。


 もちろんバスケ中にボールを蹴って仕舞えばアウト。


 サッカー中にボールに手で触れてもアウトだ。


 サッカーも上達してる感が否めないからあれだけど……かなり楽しい。


 それに……サッカーも、バスケに通ずる部分は確かにある。


 相手のパスコースを塞ぎ、ドライブを誘導する。


 これを考えるのが、これがまた楽しいのだ。

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