04

 それからの1年は短かったようで長かったような、そんな感じだった。


 ひたすらドリブルの練習をした。


 フロントチェンジなどをひたすら練習してボールに慣れたあとは、ジョルトドリブルを左右それぞれ練習した。


 ジョルトドリブルは高いところでつくドリブルから、低いところでつくドリブルに一気にチェンジするドリブルだ。


 音でいうなら、てーん、てーん、てんてん、くらいのテンポ。


 これがまた難しい。


 背も手もちっちゃいっていうのがあって、指先を使うのも一苦労だ。


 まぁ、前世どおりなら人より図体はデカく育つ予定だから、そこは将来に期待。心配しないでもいいだろう。


 あとはドロップの練習。これはシンプルドリブルをしながら、一瞬でドライブの姿勢に持っていく練習だ。


 腰を下げてドリブルしながら、足を斜めに開く。踵はつけないのがミソだ。


 それをひたすら繰り返す。


 それからもう一つやっているのが、縄跳びだ。


 これは足が速くなるようにと願って、毎日やっている。


 俺は図体がでかい代わりに、動きが少し遅かった。


 ……というか、前世では若干デブっていた。


 身長高く、足も速く!


 目指すのはそれ。


 あとはセブンティーン。シンプルなラントレだ。練習はいつも母さんが最初の方だけ見ているから、ついでにタイマー係をしてもらっている。


 アップがてらセブンティーンやって、縄跳びして、ドリブル練習、それからまた縄跳びして、1日のメニューは終了。


 土日だからと言って休むことはなかった。


 しかも、雨の日も運動できる屋外コートが俺にはある。


 日々成長しているのが実感できた。身長も、前より伸びるのが早い気がする。


 ――そして俺は、小学校に入学した。


 櫻葉さくらば小学校。前世でも入学した、家から歩いて10分ほどの小学校だ。


 ちなみに智己くんも一緒の小学校なので、途中で待ち合わせして一緒に通っている。


「あ、一斗くん」


「智己くんおはよー」


「おはよぉ。今日の2時間目体育だよ」


「楽しみだね」


「何やるのかなぁ」


「ドッジボールやりたいなー」


「ね」


 ちなみにこの頃の体育でドッジボールをやった記憶は一切ない。


 フープ送り、鬼ごっこ、体じゃんけんなどのザ、子どもな授業が主だ。


 学校につくと、智己くんとは別のクラスなので別れる。


 その代わりのようにやってくるのが、道久みちひさくんだ。


「おはよ一斗! ドッジしようぜ!」


 なぜ小学生は朝のたった10分にわざわざ外に出てドッジボールをするのか。


 これは永遠の謎だ。


「いいよ! 宿題出したらいくからいっといて!」


「おっけー!」


 うちの小学校は、登校したらすぐ宿題のプリントを先生のデスクにあるカゴに出すシステムだ。


 ちなみに今は引き算をやっている。簡単すぎて間違えようがないので、いつも満点だ。


 宿題を出し、外に向かう。


 仲間を集ったようで、道久くんの周りには何人かの子がいた。


 たった10分のドッジボールでずいぶん人数を集めたものだ。


 小学1年生のコミュ力、恐るべし。


「あ、一斗きた!」


「一斗くんおはよー」


 おはよー、と返して、その集団にはまる。


 ぶっちゃけてしまうと、このメンバーでのカーストは俺が1番だ。


 俺は勉強もできるし、運動もできる。その上怒らないし、秘密を守ってくれる。


 小さい子どもの考えてることなんて、顔を見ればすぐわかる。


 俺は難しい計算もできるから、1年生には難しい半分で割ったり3チームで割ったりすることがすぐできるため、こういう時には重宝されている。


「4対4ね。じゃん負けで外野1人でいい?」


「いいよー」


「じゃあ俺青ー」


「あか!」


 うんうん、今日はすんなり。


「じゃあじゃんけんね! 出さなきゃ負けよっ、じゃんけんぽいっ!」


 グー。


 負けだ。俺は青チームの外野に行こう。


 線はすでに引かれている。俺がいないうちに足で引いたんだろう。


 ちなみに俺のシューズは、コンクリでバスケする用の高いやつなので、土に線を引くなんて真似は絶対にやらない。


 と、こうして朝の10分はドッジボールを楽しんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る