つる。(未完)
小説。 つる。(未完)
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そこには、途切れたつるが落ちていた。もう伸びることのないそれは、晴れの日にも関わらず、まっすぐと道端に落ちていた。それはどことなく僕に死に様を感じさせた。
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今日。大学生の僕。未来に向けた就活というものがなんとなく始まった。いまいち、実感が湧かないのだけれど僕はどうやら選ばれなければならないらしい。それも同学年の人たちは僕の見えないところで死にものぐるいで選ばれようとしているらしい。3月。企業が一斉に情報を公開した。2/28まではうんともすんとも言わなかったそれらがいきなり口を開いた。目を開けた。息を吸って吐いた。ロボットが急に人間になったかのような気味悪い生気を感じた。なんとなくやらなきゃいけないんだっていう気持ちは生まれたのだが、何をすれば良いのかなんて分からなかった。
「お疲れ様です〜」、サークルの先輩になった僕は、どことなく、冷めた立場を取るようになった。先輩ぶった、嫌なやつになっていたと思う。熱狂の外側から俯瞰している中途半端な奴とでも言おうか。だから、時代の波というかそういったものにも乗れず、逆張りをすることを快感に思う人物になっていた。流行り、トレンド、はいはいエモいエモい、なんて思いながら、僕はその空間に浮いた存在になったまま、協力を仰がず、1人で就活をしていた。疑問を持った時しか周りと話さず、他人から聞かれた時だけしか答えない僕を、「自己中クソ野郎」と思う人も多かったろう。だけど、僕は違う、友達なんていらない、周りに負けないように、また周りと同じにならないようにならなければと思っていた。
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