第40話 放課後は家で2人きり

 放課後になった。俺は何の予定もなかった為、学校が終わると速攻で家に帰り。私服に着替え、町へと出た。 


 学校を出る直後に、小鳥遊たかなしさんが俺の方へと全力疾走してくるのを、凪と彩希さんが全力でそれを阻止しようとしていた気がしたが。スルーした。


 何せ小鳥遊さんを見るだけで、昼休みの空き教室での出来事が、未だに脳内に鮮明に浮かんで来るからだ。

 

 流石に今日が終わるまでは少し距離を置かせてほしい。流石にあんな大胆な事をされれば、恥ずかしくて彼女の顔もまともに見てられない。


《桐生家》


「そんで萌萌も今週はテスト期間で部活が無いから早帰りしてきたのか?」

「………エッチ」


 なんだ? 開口一番にエッチとは? どういう事だろか。それを言ったら萌萌の今の格好の方がエッチじゃないか。


 ラフなTシャツに白の短いミニスカートと肌の露出度がやたらと高い服を着ているんだ。こんな状態で外にでも出れば、健全な男子には確実にあれな目で見られるだろに。


「……はい? 何ですか? 萌萌。誰がエッチだって?」

「し、士郎君に決まってるじゃん。何? 何で普通に話しかけられるの? あ、朝、わ、私のお尻のあれをマジマジと見たくせに!!」

「朝のお尻のあれ?…」


 俺は今日の朝の出来事を思い出す。風呂場で萌萌がいきなり裸になって……それを止めようと小鳥遊さんが萌萌が巻いていたバスタオルをひんむいて……はだけた。


「あー、あれか…ドンマイ。萌萌」

「なっ?! ちょっと! 士郎君。何その薄い反応は。見たんだよね? ボクのアレ! マジマジと見ちゃったんだよね?」


 顔を赤面させながら俺に詰め寄って来る。萌萌。

 しかし不味いな。まさか萌萌にまで自身の素を出すようになってるとは、最近はずっと一緒に入る感覚だから。家族見たいな近い存在になりつつある。


「いや。あれは……凄い綺麗だったよ。うん。本当に鮮やかな色合いだった」


 俺はついつい照れながら伝えると。


「へ、変態………そんなに綺麗なの? ボクのあれ?」

「あ、ああ。なんならもう一度拝おがみたいまであるな……ん? 俺はいったい何を言ってるんだ?」


 ……本当に俺は何を言っているんだろうか? 今日は朝から刺激的な事が多すぎて、頭がアホになっているのか?


「ふ、ふ~ん。そ、そんなに見たいんだ。ボクのお尻のアレ……へー、そんなに士郎君にとってボクのアレは魅了的に見えるんだ……へ~」


 赤面しながらもどこかニヤニヤして俺の顔をジーッと見つめる。萌萌。


「………悪い。俺、少し疲れてるみたいだわ。夜まで自分の部屋で仮眠を取って来る」

「仮眠ならこのリビングですれば良いじゃん……それよりも。エイっ!」

「いや。そのうち小鳥遊さんも帰ってく……のわぁ?!」


 萌萌に突然、俺は突き飛ばされ、体勢を崩してソファーの上に仰向あおむけの状態で倒れ込んだ。


 そんな俺に萌萌はおおかぶさる様に、俺の身体に抱き付いて来た。


「ちょっ! 萌萌。何をして……る?」


 一瞬、驚いて反射的に目をつぶってしまった。そして、目を開けるとそこには薄緑色のパンツがあった。


「はぁ? パンツ? 何で俺の顔面……んぐ!」

「なーに? 聞こえなよ。士郎君。ボクのパンツがどうしたのかな?」


 くっ! 俺が喋ろうとした途端とたん。お尻をグイグイと俺の顔面に押し付けて来るなんて。


「んんんんんんんん!! (止めろ。萌萌。喰い込んでるだろう)」

「ひゃん!……ちょっと。お尻の真ん中辺りくすぐたったいんだけど。士郎君はHだね」


 どっちがHだ。どっちが! そっちが勝手に暴走してだけだろう……嬉しいけどさ。


「本当に変態さんだね~、この間も士郎君の部屋であんな事をされちゃったし。ボク、士郎君にどんどん汚されちゃうよ~」


「ぷはぁ! あんな事をされちゃったし?……もしかして、萌萌のお尻をずっとでて事か?」


 この間の俺の部屋での出来事は確か……


(ほら。ちゃんとパンツを履け! 萌萌。学校遅れるだろうが)

(じゃあ。ボクのお尻ちゃんと可愛がってよ……士郎君。好きでしょう? ボクの綺麗なお尻♡)

パチンッ!

(ひぃん! 何するの?)

(……いいから早くパンツを履け! 学校行くぞ)

(うぅ、お尻痛いんだけど。責任取りなよ。ボクのお尻を汚した責任をさあ)



「まさか。あの時のやり取りを言ってるのか??」

「フフフ……あの時とは真逆だね。ボクのパンツを脱がせないと。お尻のあれも見れないし、ボクの拘束からも逃げられない」

「だから俺の両手はあえて掴んでいないのか」

「正解! ほら。早くボクのパンツを脱がせないと柊と凛が帰って来ちゃうよ。こんな場面見られたら、また誤解されちゃうかもね~」


 そんな事を言いつつ。耳まで顔を赤くしている萌萌。たぶん、物凄く恥ずかしいんだろうなと思う。


「くそ。分かったよ! そんなにパンツを脱がされたいなら脱がしてやる! 行くぞ。萌萌」

「へ? い、いや。ちょっと待って! 限界まで誘惑したら終わりにする予定だったのに……って! にゃああ! 待っててばぁ!」


 俺は萌萌の言葉を無視して薄緑色パンツを勢い良く、両手を使って脱がせてあげた。


 すると………


「むがぁ?!……なんだ? この感触は?」

「ひゃあああ!! そこはダメえぇぇ!!」


 俺が萌萌のパンツを勢い良く脱がせたと同時に、萌萌は再び俺の顔面にお尻を押し付けて来たんだ。


 謎のプニッという感触が唇辺りに伝わって来た。黒子ホクロだろうか?


「むごがああ?! (い、息がああ!)」

「ふにゃああ!! モゾモゾしないで士郎君。体勢崩れちゃうよおぉ」


 萌萌はそう叫ぶとソファーから落下し始める。


「あ、危ないぞ!」


 俺は咄嗟とっさに萌萌の身体を手で支え、力づくで萌萌の身体を、俺の方へと引き寄せ抱き締めた。


「あぶねえ。危うく萌萌を怪我させる所だった。済まん。萌萌、調子に乗ってたわ」

「…………ううん。ボクの方こそ。助けてくれてありがとう。それともう少しこのままでいさせて」

「ん? ああ。分かったもう少しだけな」

「うん。……柊が戻って来るまでずっとね」

「はい? 萌萌。今、なんて言った?」


ガチャッ!


「ただいまー! 遅くなっちゃってごめんね~! 士郎くん。今、夕食作る……から……ね?………士郎くん。萌になしてるの?」


「ひ、柊?! 何でこのタイミング帰って来たんだ?」

「……フフフ。見て分かるでしょう。ひー、士郎君は私の身体を大切にしてるの。だからこれでひーも士郎君からは手を引くんだね」


 何故か勝ち誇った様にそう告げる萌萌。それに対して小鳥遊さんは……


「ふ、ふざけないでぇ!! この泥棒猫~! とりあえず。士郎君から離れてパンツきなさいよ! 変態萌!!」


 なんて事を叫び……


バチンッ!!


「しゃううんん!」


 萌萌のお尻を勢い良くひっぱたいた。


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