第34話 家来る? イクイク!

《飛鳥学園 Aクラス》


「クラスの皆! お願い助けて。私、変な人達に襲われそうなの!」


「うおおぉ!! うちのクラスのアイドルに何しとんじゃ! 貴様等!」

「囲え。そして、クラスへと引きずり込め! 地の利は我等にある。上級者だろうが、下級生だろが血祭りにあげろおおぉ!」

「排除。排除。排除。排除」



「キャアアア! 気持ち悪い引きずり込まれるわ!」

「コイツ等何で変なお面を付けてやがるんだ? 俺達。先輩だ……ギャアアア!!」

「黒い布の中に吸い込まれるな。入ったら最後、アイツ等の餌食だ」


 

「わ~、見てよ。竜ちゃん。クラスの皆が私を守る為に一致団結してくれてるよ~」

「突然、クラスにやって来て、凪さんを出せと言われた時は驚きましたが……あの人達は凪さんというアンタチャブルに、触れてしまいましたね。朝比奈親衛隊と敵対するという事を」

「うんうん。皆、私と仲良しだからね~、私、この隙に士朗を探して来るから。足止めお願いします! 皆~」


「はい! 凪様のいう通りに」

「そして、全てが終わった後、桐生を血祭りにあげるぞ」

「おお! それは良い。いつも二大美少女とイチャイチャしやがって! 許さん」

「血祭り。血祭り。血祭り。血祭り!」


「………狂信者の集団ですね。凪さんを親衛隊は」



《飛鳥学園 Bクラス》


「柊ちゃんが泣いてるでしょう! いくら先輩や後輩だからって図々ずうずうし過ぎない?」

「「「「「そうよ! そうよ! 柊ちゃんが可哀想だわ!」」」」」


「いや。私達は不正が疑われている小鳥遊たかなしさんを呼びに来ただけでですね」

「は、はい。風紀委員会からもその様な申し立てが」


「だから何だ? それでうちのクラスのマドンナ。いや、飛鳥学園のマドンナである小鳥遊さんを連れていくのか?」

「君等に何の権限があるんだ? ん?」


「皆~、ありがとう~! 私を守ってくれる為に学園中から集まってくれて~、ひー、嬉し過ぎて感動だよー!」


「……これが人気者を敵に回すということ」

「いや。元はと言えばあんたと凪が食堂で騒ぎを起こしたのがそもそもの原因なんだけどな。まあ、そんな事をしても許されるのが凪だし。委員会の連中、柊にまでちょっかいをかけて来て、パンドラの箱をみずから開けるとわね」

「……パンドラの箱?」

「普段から皆に優しくして、人徳がある超人気の柊を慕う子達を敵に回したの。今、うちのクラスにやって来て柊を連れて行こうとしている連中はね。こりゃあ、連中。この学園を卒業するまで、大変だろうね。今後は」


「皆~、後の事はお願い~、私、少し用事があるから行っちゃうね~」


「任せて。柊様」

「了解しました」

「僕達は君に救われたんだ。その恩を今、返そう」

「小鳥遊さんを邪魔する奴等は消えてもらうよ」


「「「「ひぃぃぃ! 話が全く通じないぞ。コイツ等!!」」」」


《飛鳥学園 生徒会室》


「何? 家の妹が各委員会の連中とトラブルを起こしているだと?」

「は、はい。小鳥遊生徒会長。どうされますか?」

「……各委員会の委員長達を生徒会室に呼び出しなさい。可愛い妹に手を出した事を後悔させてあげるから」

「りょ、了解しました。(うわあぁ! 出たよ。小鳥遊生徒会長のシスコンぷり。こりゃあ、問題を起こした委員長達は皆、血祭りだろうな)」


《旧校舎 空き教室》


「あー、成る程。それでずっと俺を見てたんだな」

「そ、そうなんです。わ、私、貴方に告白を断れてから、貴方をずっと見守っていたんです」

「それで可愛いくなる努力を止めたとも言ってたな……こんなに可愛いのな」


 桐生君はそう言うと私の前髪をかき上げました。私は今、勢いとノリだけで彼の膝の上に抱き付いた状態で座っている状態です。いつの間にか言葉巧みに手と足の拘束を外す様に誘導されて外してあげたのに逃げようともしないなんて、桐生君。貴方、今、何を考えているんですか?


 て、ていうか。何で私、桐生君と普通にお話しているんですか? 


 私は彼を拘束して小鳥遊柊とどうして仲良くなったのか、力付くでも聞き出さないといけないのに。


「ちょ、ちょっと! は、離して、桐生君に今の素顔を見られると私、恥ずかしいですから……」

「あっ! 悪い。彩希あきさんと久しぶりに話せて嬉しくてさ。ついつい積極的にスキンシップとっちまったよ」

「私と久しぶりに話せて嬉しいですか?」

「ああ、ずっと同じクラスだったのにな。全然、話してなかったじゃないか。そうか。俺は無意識に彩希あきさんの心に深い傷を負わせてたんだな……本当にごめん。昔からの幼馴染みの1人である君を傷付けちゃって。ごめん」


 桐生君は私の両手を握ながら、突然、私に対して謝罪の言葉を述べてくれました。


「わ、私が桐生君の幼馴染み……な、何で覚えてくれていたんですか? 遊んでいた時なんて幼稚園位まででその後は、疎遠になってたのに……」

「いや。覚えてるよ……萌萌の事は何故か忘れてたけどな。誰かに蹴り飛ばされて記憶でも吹き飛んだかな?」

「へ? 萌って? 西蓮寺さんの事ですか? あの娘よりも私の記憶を優先して覚えていてくれたんですか??」

トゥンク♡


 これは再び恋に落ちるトゥンク♡の警鐘けいしょう。私はこれを境にヤンデレ(自称)する事を止めると決意しました。これからは再び可愛いくなれる様に努力します。


「士朗!! どこに居るの?! 助けに来たわよー!」

「士朗君! ナッちゃんから聞いたよー! 私が今、助けてあげるからねー!」


 遠くの方から朝比奈凪と小鳥遊柊の声が聴こええて来ます。


「ひぃ! こんな所見られたら、私、怒られまふ!」

「……だな。取りあえず。彩希あきさんに行っていいか? 昔話しもしたいし。会いたい奴も居るからさ」

「へ? 私の家に桐生君が来てくれるんですか? 」トゥンク♡


 嘘? 私のヤンデレ部屋。桐生君に全部見られちゃうって事? トゥンク♡


「久しぶりに彩希さんの弟のじんにも会いたいんだよなー! 元気にしてるかな?……そして、放課後。柊と萌萌に詰められなくて済むな。助かったぜ。あの2人が寝静まった後にこっそりと家に帰ればミッションコンプリートだ……折檻されたくないからな」


 桐生君の次の言葉を何てトゥンク♡している間に聞き取れるわけもないまま。


 私は桐生君を連れて自宅へと帰る事になりました。


 

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