第11話 小悪魔に、たまには天誅を
おのれ。
別れ際も───
(じゃあ。お昼は2人っきりで過ごしたいから、旧校舎側の教室に集合だからね。だ・か・ら・逃げちゃ駄目だぞ。彼氏くん)
なんて可愛げに言って、自分のクラスのBクラスに入って行った。ちなみに俺と凪、悪友の2
小鳥遊さんとは隣のクラスで、アスナと
「小鳥遊さんによる、昨日からの恋人アピールのせいで、学園の数多の男共は殺気だっているが。まあ、大丈夫だろう」
なんたって俺の所属するAクラスは2年生の中でもかなり皆中が良く、アットホームなクラスなんだからな。だから俺が教室に入り、おはようの挨拶をすれば。皆が気持ちの良い挨拶をしてくれて───
「おはようー! 今日も眠…」
「来たぞ! 掟を破った大罪人が! 囲めえぇぇ!」
「「「「「オオオオ!!」」」」」
「何だ? お前ら? 朝っぱらから! 何だ? その犯しな仮面は?」
おはようを言えば皆が笑顔で出迎え、優しく挨拶を返して穏やかな1日が始まるわけがなかった。
「黙れ! 裏切り者。貴様には、我がクラスが誇る美少女。朝比奈 凪様という幼馴染みが入るにもかかわらず。飛鳥学園の二大美少女の1人たる小鳥遊 柊様と朝からイチャイチしおって! 万死に値する罪を犯した」
「「「「「重罪! 重罪! レッツギルティー!」」」」」
「レッツギルティー! 士郎に
「何言ってんだ? この暴動達は? そして、明らかに最後。凪の声が交じってたよな?」
扉を開け教室へと入った瞬間。俺は数人の学友達に取り囲まれ、拘束された。そして、何の言われもない罪により、ギルティーされる事に速攻で決まった。
……つうか。凪の奴もコイツ等に交ざって何やってんだ? 助けろよ!
「おお! 小鳥遊ファンクラブが朝から士郎を捕まえて楽しい事してんな」
「そして、凪さんも何故かこっそり交ざってますね。楽しそうに」
「あそこだけ。暗黒面が広がってるね」
悪友2人と竜胆は俺を助けるわけでもなく。俺の行く末を楽しそうに観戦してやがるし!
おいおい。今、このクラスに俺を助ける様と立ち上がる勇者はいないのかよ?
「罪人。桐生 士郎よ。これまで貴様が行ってきた。小鳥遊 柊様との数々のイチャイ……スキンシップを今後は控えると誓うか?」
「誓え! 誓え! 我等が為に!」
「そうだ! 誓えー! 私や……他の女の子達の為に!」
だ、駄目だ。コイツ等。目が完全にヤバイ奴のそれじゃねえか!
「はぁ? 何、言ってんだ? そもそも。俺は小鳥遊さんとは何も……」
俺がそう言い方時だった。突然、俺のスマホから何かの着信音が流れだしたのは。
『ピロリ~ン。メールだよ~! 私の大切な桐生君♪ キャハ、言っちゃた。てへ♪』
スマホからなんと、小鳥遊さん甘々ボイスがAクラス教室中に響いたんだ。
「何だ? このボイスは……まさか。テニス練習場で、俺に密着してる時に自分の声を録音して、小鳥遊さんの方から連絡してくる時に鳴るように設定したのかあぁ?」
「……やれ。同志たちよ。この罪深き罪人に天誅を下せ!!」
「「「「「オオオオ!! 排除! 排除!」」」」」
「
「おおぉぉ! 何すんだ。お前等? 止めろ! 俺達。同じクラスの友達だろうがあぁ!」
「同じクラスの友達?……何をぬるい事を言っている。貴様は、誰も触れてはいけない
「「「「「受けろ! 受けろ!」」」」」
「そうだー! 受けろ。士郎ー!」
アホ共に交ざって、同じ
ガラガラガラ!!
「はーい! 朝のホームルームを始めるから、そろそろ席に付いて……」
しめた! 担任の橘先生が来た。これでこのアホ達の暴走も止まる筈、橘先生の登場でアホ達の動きもピタリと止まったしな。
「……ああ、桐生君が柊ちゃんと良い感じになったから皆に拘束されて、凪ちゃんがそのお仕置きね。了解。了解。
「はい。橘先生。やれ! 同志達よ。レッツ! 天誅!」
「「「「「レッツ! 天誅!」」」」」
「レッツ!
「おい! そこは教師として止めろよ! くっ! 止めろ。アホ共! ギャアア!」
その
◇
《昼休み 空き教室》
「ぷっ、アハハハ……担任の先生が来たのに…先生が天誅を許可って……フフフ……駄目。ツボ入っちゃった……面白い過ぎて我慢できない! アハハハ!!」
「……元はと言えば。
「ひぃー……駄目。笑い過ぎてお腹痛い…ち、違うの。あの着信音ボイスはちょっとしたイタズラで…そんな天誅とか、
……まだ笑ってるし。どんだけツボってンだよ。
今、俺と小鳥遊さんは2人きりで旧校舎の空き教室に一緒に居る。なんでかって?
そりゃあ。教室で流された。俺だけ限定小鳥遊ボイスについて、抗議する為だよ。
「……フゥー、フゥー…ハァー、やっと収まってきたよー」
さっき教えた教室での出来事で、笑ってるし。くそー、昨日の放課後から振り回されっぱなしじゃねえか。
考えろ。何か、何か。ギャフンとやり返す何かはないのかを……
「あっ! そうだ。思いついた」
「んー? 何が?……へ?」
笑いのツボにはまり、すっかり油断仕切った
「き、桐生くん? ど。どうしたの? い、いきなり。私の顔にて、手を……」
「何、
「そ、それは! わ、私は女の子だから良いんだよ。き、桐生くんは男の子じゃん……ゴニョゴニョ」
「何? 最後の方。聞こえなかったんだけた?」
俺の突拍子ない行動に驚いたのか。小鳥遊さんは顔を赤らめ、落ち着きがない。
「だ、だから…その…桐生くんは男の子で…私はこういう事に慣れてなくて……」
「へー、慣れてないのに、人前ではあんなに引っ付いて来るんだ」
俺はそう言い終えると。
「そ、それは君をだから、桐生くんだからであって……てっ! な、何でいきなりゼロ距離にいぃ!」
あわあわと可愛らしくあたふたしている。彼女に向かって俺は───
「あんまり。
「へぁ? 私の唇を……んむ?!」
俺は右手の薬指で
「だから。これからは…てっ?
「桐生くんが私の…唇を…あぅ……」
彼女はそう言い残すと数分意識を失った。
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