第19話

《ランキング発表の日》


Storm Challengeの公式ランキングが更新された。


玲央のチーム“Vanish”は、今回の勝利によって一気に【56位 → 23位】へとジャンプアップ。


「ついに……ここまで来たか」


玲央が静かに画面を見つめる。

その横で陽斗が大声をあげる。


「っしゃあ! これでやっと“上位層”に足突っ込めたな!」


「ねえ玲央くん……“彼”がいるのって、たしかランキング10位以内だったよね?」


未来が少しだけ不安げに尋ねる。

玲央はゆっくりと頷いた。


「……ああ。“神代 結翔”だ。俺を潰した張本人――」



《回想:あの日の敗北》


玲央の脳裏に、あの忌まわしい“世界大会”の記憶が蘇る。

プロとして、最高のステージに立ち、誰もが玲央を“世界トップ10の天才”と称えていた。


――だが、世界ランキング2位だった“神代 結翔(かみしろ ゆいと)”との一戦で、すべてが壊れた。


(なんで、動きが読まれてた……?)


コンボが、読まれて止められる。

立ち回りが、先読みされて封じられる。


実況も観客も、みな“玲央の終わり”を感じていた。


「神谷玲央、完全敗北――!」


その一言が、玲央の全てを奪っていった。



《戻らない日常》


試合後――プロチームからの契約打ち切り、スポンサーの撤退、

家族の沈黙、友人たちの“距離”。


誰も何も言わない。でも、その“無言”が全てを物語っていた。


玲央は、1人になった。



《再び、未来へ》


現在――未来がそっと手を握る。


「玲央くん……その人を、超えたいんでしょ?」


「……ああ。今度は逃げない。“正面から”勝つ」


玲央の声には、震えがなかった。


「俺は……俺自身を、取り戻すために戦うんだ」



《次なる対戦相手》


公式発表により、次の対戦相手が決定する。


チーム名:【Cronoz Red】

通称:地獄の中位殺し。スピードと奇襲に特化した異端の戦術集団。


「なにこれ……こんなチーム、聞いたことない」

陽斗が目を丸くする。


だが玲央は、どこか冷静だった。


「知ってるよ。……神代が昔、育てた“傘下チーム”のひとつだ」


場が一瞬、静まった。


「つまり、この戦いは――神代への“挑戦状”だ」

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