孫堅伝
第一回 孫堅、生誕に際し、主婦からその大成を予言される
史書にいう。
「おそらく、
断言もせず、曖昧な言葉で濁した。
孫武とは孫氏の兵法で知られれる武将にして軍事思想家である。
「戦わずして勝つ」
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」
などの理念で有名であろう。
孫堅はその孫武の子孫なのだ。根拠はないがそうなのだ。そいつはすげーや。
史家も困惑したのだろう。
何も証拠になるものはないので、吹かしとしか思えない。とはいえ、仮にも皇帝になった英雄が名乗っていたのだ。
「おそらく~」と
孫堅の家は代々呉で役人をしていた(という)。
家は
「これは普通の気ではないな。孫家はこれから成り上がるのだろう」
どうやら、普通の気と普通じゃない気があるらしい。老人たちにはそれを見抜く眼力があったようだ。孫家の墓からは溢れる気がこれから起こる波瀾を物語っていた。
孫堅の母親が二人目の子を懐妊した時、不穏な夢を見た。
自分の
あまりに気味の悪い夢だったので、隣の
「それは良い
でも、門に巻き付いていたってことは、簡単に迎え入れられるわけじゃない。戦いが起きることを暗示しているわ。きっとお腹の子は数奇な運命のもとに大成するのでしょう」
どうやら、おばさんは予言や夢占いに通じていたようだ。
果たして、生まれた子の容貌は非凡であり、性格は闊達、誰からも好かれるようになる。ただ、他人の真似できないような行動を好んでいた。
どうやら、おばさんの予言通りに、数奇な運命を辿ることになりそうである。その子は
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