孫呉主伝
ニャルさま
まえがき
「呉とは南方にフロンティアを見出した若者たちの国である」
(『正史 三国志8 呉書3』陳寿 裴松之著 小南一郎訳 ちくま学芸文庫 解説より)
この小説を執筆するに当たり、当初の案としては「孫晧伝」というタイトルにしようとしていた。
三国志においても
孫晧は
そのため、呉は滅亡した。そう伝には綴られる。
しかし、晋に降った後にはその知性と不屈を感じさせるエピソードが語られる。その二面性はどこにあるのか、孫晧はただ暴虐で愚かなだけの皇帝だったのか。それを検証したいと考えていた。
孫呉の
孫策が行動を始めてから86年。年若かった若者たちは老いさらばえて死に、生き残ったものたちも年老いている。老人はフロンティアの存亡に当たり、何を思い、何を見たのだろうか。
そんな内容を構想していた。
後期の呉では、
知られざる、というと言い過ぎではあるが、あまり知られていない愉快な人物がまだ大勢いるのだ。そうした人物も紹介したいと考えていた。
当然というべきだが、三国志とは三つの王朝、三人の皇帝が並び立っていた時代である。
だが、その成り立ちは三国三様で、
これは偶然の行き当たりばったりの結果で生まれたようにも思えるが、緻密な計算のもとに成り立たせたとも思わせる。実際にはどうだったのだろうか。
主人公は孫呉主、すなわち、歴代皇帝や王たちの六人を考えているが、
読者の方の中で、この人物のことはちゃんと書くんだろうな、などと思う人はコメントしていただけると、ありがたい。網羅できるように努めたい。
そんなわけで、本作では「正史 三国志」を参照しつつ、当時の時代を再現していこうと思う。
ただ不幸なことに、筆者は
それでは、まずは孫策、孫権の父に当たる
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます