第14話トロッコ

タニヤマ「あ、猫おる!」


ソトナカ「ホンマや。ちっちゃ。」


タ「可愛いな~。生きてるみたい。」


ソ「さらっとサイコパス発言すんなや。」


タ「なあ、もし猫と俺がトラックに轢かれそうになってたらどっち助ける?」


ソ「猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫」


タ「連呼しすぎやろ。お前の方がサイコパスやんけ。」


ソ「まあ、実際はお前助けてそれネタにゆすって飯奢ってもらう方が得だわ。」


タ「マジもんのサイコパスやんけ。」


ソ「猫なんて助けてもメリットないしな。」


タ「止まんねえなおい。そういうのがかっこいいと思う年頃か?」


ソ「いやいや、人間なんてそんなもんでしょ。見返りがないのに手を差し伸べる人間なんて今時おらんて。」


タ「親に裏切られたレベルの人間不信やん。お前トロッコ問題とか絶対レバー引かんやつやろ。」


ソ「いや、それはしっかり被害が少ない方を殺すよ。」


タ「殺すって言うてもうてるやん。じゃあ猫5匹と俺ならどっち殺す?」


ソ「猫。」


タ「じゃあ猫10匹と知らんおっさんなら?」


ソ「猫。」


タ「じゃあ猫20匹と犬なら?」


ソ「猫。」


タ「じゃあ猫100匹とカマキリなら?」


ソ「猫。」


タ「もうただ猫が嫌いな人やん。」


ソ「猫助けてもメリットないから。」


タ「マイナス方向に意思が強すぎるやろ。ホンマに猫可愛いと思ったことないん?」


ソ「ないな。」


タ「しゃーないな。じゃあ俺が猫の可愛いところ教えたるわ。」


ソ「別にええて。」


タ「チッチッチ、ほ~ら猫ちゃんおいで。あ~可愛いでちゅね~。」


ソ「…。」


タ「よーしよしよし。じゃあまず最初ね。野良猫は爪がかなり鋭利。」


ソ「最初に挙げるとこちゃうやろ。」


タ「二つ目は、あ~なんか野良猫は耳が片方ハートになってる。」


ソ「去勢手術受けた目印やんけ。」


タ「そうなん?」


ソ「お前、ホンマは猫好きやないやろ。」


タ「いや、好きっていう気持ちはあるんや。ただ知識がないだけで…。」


ソ「どうでもええけど、その猫はお前のこと嫌いみたいやで。」


タ「え?ギャッ、嚙まれた!」


ソ「あーあー、もう離したりや。」


タ「おーいてて。あっ、そんな急に走ったら…」


ソ「!」


ダッ


キキーッ


タ「ソトナカ!」


ソ「ハァ、ハァ。」


おじさん「す、すみません!大丈夫ですか⁉」


ソ「いえ、この猫が車にぶつかりそうになったのを助けただけなんで。そちらこそ大丈夫ですか?」


お「は、はい。お怪我がなくてよかった…。」


タ「ソ、ソトナカ…。お前…。」


ソ「ああ、別に怪我無いし大丈夫やで。」


タ「いや、お前…あんだけ見殺しにするって言っときながら、めっちゃカッコええ奴やん。」


ソ「まあ、口では言うものの、いざって時は身体が動いてまうわな。」


タ「か、かっこいい~!なんであんなに猫嫌ってたんやお前。」


ソ「ああ、それはな…。」


タ「ん?うわっ!なんやその腕のブツブツ!」


ソ「俺、ホンマはめっちゃ猫好きやけど、猫アレルギーやねん。」


タ「今までのサイコパス発言が全部ツンデレ発言に塗り替えられたわ。」

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