第3話

教室中が唖然とする。


当然その中に僕もいる。

「というわけだから、よろしく」


「何考えてるんだ…?」

そんな疑問が素直に口から出てくる。

確かに。思い返せば告白じみた台詞だったと思う。

だけど、違うんじゃあないかなッ!?


成瀬に助けを乞うためにちらっと見ると、そこには親指を立ててグッジョブといいたげな感じで僕を見てた。


使え……

アリスはと言うと隣に座って僕に話しかけてきた

「ねぇねぇ。――――」

―――――――――――――――――

「チッ…蒼のどこがいいんだよ…なぁ?」


「だからよ。なんであんなやつがアリスさんの彼氏なんだよ…」


「意味わかんねぇよな!俺の方が絶対お似合いなのによ……はぁ。アリスさん見る目ねぇな…」



廊下で固まって話す男子グループ。

蒼とアリスの愚痴だろうか。


といとこの悪口は気分が悪い。



「お前らよりは良い奴だぞ。蒼は」


「は?」


どうやら自覚がないみたいだ。これは教えてあげないとな。


「お前らみたいに人の悪口は言わねぇし、お前らよりアリスとお似合いだわ。ボケ」


「なんだとてめぇ…」


「おい、やめとけってこいつアリスの従兄弟だぞ。」


「チッ……」


まぁ、これで悪口を言うのは無くなったかな…


―――――――――――――――――


一方教室では

会話が一段落したところで僕は聞いた

「あのぉ…アリスさん…?」


「何〜?」


「付き合ってるんです?僕たち。」


「君が言ったんじゃん。『ずっといるよ』って。」


「確かに…いや、あれはそういう意味で言ってないですよ!!」


「まぁ…アリスさんが良いならゴニョゴニョ」


「え?」


「アリスさんが良いならちゃんと付き合いましょ!!」


言っちゃった。言うつもり無かったんだけど。

あぁ〜これぇは引かれた…

うわぁ…だからいいたくなかったんだよな…


固まっちゃったし…


「……いいわよ」


エッッ?!

「い……今なんて言いました?」


「いいって言ったのよ!!」


どうやら皆さん、僕は正式にアリスの彼氏になったようです……


それからというものずっとベッタリなアリスさん。なんだったら一緒にいない時間は無いに等しいと思い始めた…


それが高校2年の出来事だ。





それから月日はたち僕たちは高校3年生になった。


今日は始業式。

春休みは僕の用事で会えなかったから、アリスとは久々の再会だ。


とても楽しみだ。

僕を気に入ってくれるだろうか…



風が吹き木の葉が揺れる音が聞こえる


扉の前で一呼吸入れる。

「ふぅ……」


扉に手をかけ開ける。


クラスに来ている人がこちらを見る。

ヒソヒソと話してるが関係ない。


肝心のアリスはと言うと……

手に持っていたシャーペンを落とし固まっていた。


「おはよう、アリスさん」


「は……ハジメマシテ」

シーンと静まるアリス


「…ねぇ!成瀬君!!アリスがぁ!!」


「いや、お前は悪かねぇよ…」


「あれ〜?蒼〜?……俺の知ってる蒼じゃない」

そう言ってきたのは早川。2年の時仲良くなった友達だ。


成瀬は「そんなことより」と文の初めに言い言葉を繋いだ。


「髪切ったんだな。似合ってるぞ」


「ありがとう」



その会話を聞いて早川は思った。

"アリスは放っておいていいのか"

と。


「アリスさん? どう?似合ってるかな」

照れながら言う蒼を見てアリスは、手で顔を覆い、どこにしまっていたか分からない100点の札を見せる。


「良かった。」


「なんで、髪切ったの?」


とアリスは一呼吸置いてから聞いてきた


「君の隣にふさわしい人になるためだよ」


しばしの沈黙。

アリスは堪えきれず笑ってしまった。


「な、なんだよ!」


「いや、まだなれてない気がするなぁ〜って……」


「トホホ……」


「まぁ、けど……ありがとう。」


「どういたしまして。」


「それはそうと、なんで春休み一回も連絡寄越さなかったのかな……?」


ニコニコとしているはずのアリスがなんか怖い。


「早川ッ!!お前壁になれ!!」

僕は早川をアリスと僕の間にセットした。


「邪魔だぁ!!」

そういいアリスの手から放たれた拳が早川の腹にめり込む。


「痛ぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


「早川……惜しい死だった…」


「勝手に死なすなッ!!」



僕らは一斉に笑った。

やっぱり僕はアリスの事が怖い










































だけど












大好きだ。

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