第7話 爆裂と瞬き
「カズマカズマ! 今日の爆裂スポットは、なかなかの名所なんですよ!」
「おう、また山の上とかじゃねぇだろうな?」
「ふっふっふ。……はい、山の上です!」
「おい!!」
文句を言いながらも、カズマはちゃんと同行していた。
なんだかんだで、付き合ってやるのが癖になってきている。
山道を抜け、小高い丘に出た。
「ふふふ……見てください、カズマ。この絶景! ここで爆裂魔法を放つことに、どれほどのロマンがあるか……!」
「ま、確かにいい眺めではあるな」
町全体が見下ろせる高台。風が心地よく吹き抜ける中で、めぐみんはゆっくりと杖を構える。
「いざ、爆裂――!」
その瞬間。
カズマは、まばたきをしてしまった。
「――エクスプローーージョン!!」
視界が白く染まり、山肌を震わせるような轟音が空気を裂く。
その光と音の迫力に、一瞬遅れて目を開いたカズマは――
「……わっ、まぶしっ!」
まぶたの裏に残る残光に目をこすりながら、めぐみんの方を見る。
彼女は、いつものように座り込んでいた。だが――
「……カズマ、今、見ましたか?」
「え? ああ、すまん、まばたきしてたわ」
「……っ!」
めぐみんの顔が、すこしだけむすっとする。
「今のは、特別に綺麗だったのに……」
「そ、そうか……すまん、今度はちゃんと見るから。っていうか、お前いつも“特別”って言ってるだろ」
「そ、それは……! でも、今日は特別の中でも、さらに“特別”だったんですから!」
「いやいや、“特別”のインフレ激しすぎるわ」
「カズマの、ばか……」
めぐみんはそう呟くと、ふいっと視線を逸らした。
でもその横顔は、なんだか拗ねてるというより――どこか照れているように見えた。
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