第2話 五里霧中の世界を指し示すのは予知夢?
最初に見た夢では、大渕泰輝は壮年で……原子力委員に就任していた。
“センセイ”と呼ばれていたから既に国会議員になっていると思われる。
次に見た夢は、背広姿の二人の男が議員会館に居る大渕泰輝を表敬訪問するシーンで……二人の内の一人が「我が社はゼネラルエレクトリックと深い繋がりがあります。そして彼は上海電気の特別顧問でもあります」と頭部が禿げあがったもう一人の男を紹介していた。
その次に見た夢は……てっきり中国人かと思っていた禿げ頭の男がハングル文字の書かれた書類をシュレッダーにかけているシーンだった。
その次に見た夢は、
「総工費5兆円の話に50億円などと話しにならん! 銚子に原発を誘致するのにいったいくらバラ撒いたか! お前の方が知っているだろうが!!」
「よくご覧下さい。“フチキ商事”を介しての入金分だけで月々50億です」
その次に見た夢は……
ひとしきり演説を終えると男は“大仰な”身振りで目の前に置かれたボタンを押した。
途端に「マンセー」「マンセー」との大合唱が起こった。
その次に見た夢は……キノコ雲がいくつ立ち昇る核戦争後の地獄絵図で……
もうもうと黒い霧が立ち込め、時折、見える人らしきものは……すべてがドロドロになった“ゾンビ”だった……
オレはこれらの夢を毎日繰り返し繰り返し見た。
その夢達は……繰り返されるたびに鮮明となり……特に最後のゾンビの夢は、世界のあちこちの光景となった。
これらは……
大きなストレスを抱えているとは言え……
明確な未来予想図だ!!
オレもあの“Dead Zone”に立たされたのだ!
だとしたら!!
オレの取るべき道もただ一つ!!
「もしヒトラーが台頭する前のドイツに行けたなら、あなたはどうするか?」と尋ねられたら……オレも「命にかえてもヒトラーを殺す」と答えるまでだ!!
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