第15話 出立

アカリは自分の年齢だけでなく誕生日も分からなかったので、適当に考えてビリーと出会った日を誕生日としているぞ!

決してガバったわけではないんだ!!


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ニホーンが定めた留学条件は大きく2つ。

・勉強が出来る

・ダンジョンに潜れる

真面目に説明すると長くなるから、ざっくり解説する。



まず『勉強が出来る』の定義は、一般高校生と同等の学力を有していることだ。

テスト方法は筆記試験なんだけど、なんと問題文が全て日本語(!)

というのも、数十年前に移民関連でゴタゴタがあったらしくて、その頃から試験が激ムズ仕様になったんだとか。

やっぱ言語が違うとトラブルが増えるのね···。



そして『ダンジョンに潜れる』の程度は、そこそこ希少なダンジョン素材がドロップする階層まで潜れるとか何とか···複雑すぎて俺もよく分からなかった!

つまり強ければ良いって事だな。

“ダンジョン素材の産出量≒国の強さ”らしいから、富国のために外国人を使うつもりなんだろう。

この国、結構凄い事をやってるな?



とまあ、この2つを満たした人間だけが、3年間の留学を許されるわけだ。

留学だけでもこの難易度なので、永住権を獲得するには···もうあれだな、国難を救って英雄になるレベルの貢献をする必要がある。






◆◆











俺がこの世界に来てから10年が経った。

勉強に鍛錬に、とにかく充実していたな。

···え、あっさりしすぎ?過ぎたことは振り返らない主義なんだよ。

というか色々ありすぎて、高校数学が死ぬほど難しかった事くらいしか覚えてないよ。

特に漸化式。貴様は絶対に許さない、絶対にだ。



それでも無事に留学条件は達成し、晴れてニホーンへの渡航が確定した。



「久しぶりだな、ケイ!よく来てくれた!」

「あはは、ホントにね···」



ノックスに強〜く抱きしめられ、苦笑いをしているニホーン人の男性───高崎計さん。

12,13年前にここへ取材しに来た人で、俺の留学手続きやら色々を手伝ってくれた人だ。

ニホーンへ帰るついでに、空港にも俺に付き添ってサポートしてくれるらしい。感謝。



「元気でな」

「あんま無理するなよ?」

「···うん!」



ここ5年くらいで一気に白髪が増えたおっさん二人組へ、俺は力強く返事をした。

今日の天気は快晴、旅立つには良い日だ。



「行ってきます」



俺の異世界無双、新章開幕ッ!!!



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>>あんま無理するなよ


そこそこ無理します。


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