第3話 めいの嫉妬

『それでお兄ぃはなんでこんなに遅くなったの?そんなに可愛い妹からのお願いを忘れるような事があったの?』


 なぜか俺は妹に正座させられながら、背中に抱きつかれている。めいも最近、どこがとは言わないが膨らんで来てるから柔らかいものが当たってるんだよっ!


『当ててるんだよ、お兄ぃ』


「心の声を読むのやめてくれる?」


 でもめいのおっぱいを背中で感じながら、さっき出会ったばかりの女神様のお待ちのモノと比べてしまう。


 さして胸部が目立つ服装じゃなかったのに、あの存在感。紳士の俺はあの場での煩悩は封印していたが、今頃になって目覚めてしまったのである。


『あ、お兄ぃ。今、私以外の別の女の事考えてたでしょ?』


「お前は本当にエスパーか何かか?」


『お兄ぃの事だったらなんでも分かるよ。どんなストーカーにも負けない自信あるし』


「今日ほどめいが妹で良かったと思った事はないよ…赤の他人だったらと思うと、怖くて夜も眠れなさそうだ」


『そういうのはいいから。散歩中にでも綺麗なお姉さんにでも会ったんでしょ?』


「…黙秘する。俺にだってプライバシーってものが…」


『ふーん、そういう態度取るんだ?なら私にも考えがあるよ?』


「さ、参考までに何をするつもりなのかな?」


『お兄ぃがこの前の朝、無精してたのを私の友達やお兄ぃの友達にバラす』


「それだけは勘弁してください、めい様。全てお話致します」


『ちなみに証拠のパンツの写真も撮ってある』


「エグ過ぎて草も生えんわ…おい?そのパンツどこやった?」


『………お兄ぃ、世の中には知らない方がいい事もあるんだよ』


「めいが俺のパンツ被って、変態仮面ばりに『フォオオオオっ!』とか言ってなければいいけどさ…」


『……………』


「おい⁈その沈黙はなんだ⁈最悪の回答が図星だったとかはやめてくれ…」


『冗談はさておき』


「マジで安心してしまった…」


『そのどこの馬の骨かも分からない女の事を、全て洗いざらい話して』


 俺は仕方なく公園で出会ったお姉さんの事について話した。勿論めいを刺激しないよう、なるべく詳細をボカしながら。


『ふーん、お兄ぃ好みの清楚系巨乳お姉さんと公園で知り合って、スノーをダシにイチャイチャしてたんだ?』


 …俺がめいを誤魔化すのは無理ゲーなんじゃないか?このままではヘタをするとみずほさんに何らかの危害が…。


『そんな清楚ぶった泥棒猫は私が殺処分してあげなくちゃね…』


 前言撤回、危害どころかみずほさんに明確な命の危機が…。そんな時、タイミングが良いのか悪いのか、親父が珍しく早い時間に帰って来た。


「晴人、めい、帰ったぞー」


「珍しいな親父。こんな時間に帰って来るなんて」


『雪でも降るかもしれない』


 茶化す俺たちに対して、親父は真剣な表情でこちらに向き直った。


「2人とも居て良かった。あのな…父さん、職場の同僚の人と再婚する事にしたんだ」


「『………えぇーーーーーーーっ⁈』」


 流石にいきなり過ぎるだろ、親父め…。


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