王都召喚と“第二の書き手”の影

レイが村での小さな“奇跡”を起こした翌日。

空に異変が走った。


空間が裂け、そこから巨大な金色の魔法陣が浮かび上がる。


「これは……転移陣?」


空が語った。いや、“語らせた”のだ。


「この世界の書き換えを行っている者、レイ・アルスター。

王都より緊急召喚。拒否は認めない」


「強制召喚……まさか、“語り手の残党”か?」


エリスが顔をしかめた。


「違う」


レイは静かに目を細める。


「これは、“もうひとりの書き手”が使った魔法だ。俺の“筆”と同じ波長を感じる」


その瞬間、レイの身体が光に包まれ、

マリーとエリスの目の前から、転送された。


【王都・神聖言語図書院】

白く広がる書棚、浮遊する羽根ペンと未記入の本たち。

その中央に、レイは立たされていた。


目の前に現れたのは――黒衣の少年。


白髪に灰の瞳、手には銀の万年筆。


「初めまして、“第一の書き手”さん」


「……お前が、“第二の書き手”か」


「僕の名前は、ユリウス・コードライト。

この世界の“矛盾”を修正するために召喚された。

君が“自由”に書き換えたこの世界を、もう一度、筋の通った“物語”に戻すためにね」


「……戻す?」


レイは、静かに睨みつけた。


「自由になった世界が“物語じゃない”っていうのか?」


ユリウスは頷く。


「そう。“自由”には“責任”が伴う。

君が定義を壊しすぎたせいで、

世界は“選択肢の海”に溺れ、意思を失いつつある」


レイの脳裏に、村の人々の表情がよぎる。


“誰もが自分でスキルを定義できる”世界。

だが、逆に“何を信じていいか分からない”者もいたのだ。


「……それでも、俺は“誰かに決められる世界”よりマシだと思った」


「それが“書き手”の傲慢だよ、レイ・アルスター」


ユリウスが、静かに指を鳴らす。


次の瞬間、空間が“構造記述領域”に切り替わる。


【強制構成空間:再記述試練フォーマット・ゼロ起動】


レイの足元が崩れる。

スキルも能力も一時的に“白紙”に戻された空間。


「この世界の“物語性”を保つため、君の存在がどれほど矛盾を生むか、

僕と“筆”で語り合おう」


銀の万年筆が空を走る。


――物語を書き直す戦いが、始まった。

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