第21話 因果と輪廻(5)

しかし、この恐ろしい叫び声が鳳凰の炎と狐火が交わってできた陰陽の力に触れると、まるで氷雪が真夏の太陽に当たったように、瞬時に消えて無くなり、空気中には僅かな残響がかすかに漂っているだけで、太古の神と悪魔の悔しさと諦めを語りかけているようだ。

「青鸞(せいらん)」楚颺(そ よう)は突然軽く笑った。その笑顔には戦いの後の疲れが少し見えるが、果てしない洒落と解放感もある。まるですべての困難が目の前を通り過ぎる雲のように、すぐ消えてしまうものだと思っている。

彼女はゆっくりと頭を回して君長卿(くん ちょうけい)を見つめた。目には明るくて決して揺るぎない光が輝いており、夜空の中で最も輝く星のようだ。

「こんなふうにずっと守り続けるんだろうか?」

彼女の声はこの混乱して騒がしい環境の中で際立って響き渡り、まるで時空の束縛を超えている。君長卿に尋ねているような気もしるし、自分自身の心と深い対話をしているような気もする。

君長卿は躊躇することなくうなずいた。彼の9本の狐の尻尾は9本の器用なテープのように、軽く揺れている。そのうち一本の尻尾の先が優しくて力強い手のように、自然に楚颺の手を軽く巻きつける。その動作は軽やかで自然で、彼らの間で最も心有り通りのやり取りのようだ。

彼の目は決心を見せて深く愛情に満ちている。果てしなく広い夜空のように奥深く、果てしない星と優しさを秘めている。「宇宙の果てまで。」

彼の声は低くて力強く、魂の奥底から叫び出したような響きがある。天地間で最も厳粛で永遠の誓いのようだ。

そう言って、彼は指先から軽く狐火を放ち、その狐火はとても鋭い彫刻刀のように、前向きな勢いを持って、混沌の亀裂に向かって素早く飛んでいった。

亀裂の上に、狐火が刻んだのは古くて神秘的な千年の契約だ。契約の呪文は奇妙で目を見張るような光を放っている。これらの呪文はまるで宇宙で最も古い文字のようで、鳳凰と狐族の間の時空を超えた約束を記載している。

「鳳凰と狐族の約束は、もともと永遠のものだ。」




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