第18話 JKを拾いたい!!
「ちょっとカゲ!これはどういうこと!?
なんでスイが家にいるのよ!しかも私の服で!!!」
「はぁあ!?!?!これあんたの服なの!?!?
じゃあ脱ぐわこんなの!!!!!!」
「ちょ、水宮さん!?服脱がないでくださいよ!」
水宮はヒナミが来た途端豹変した。
さっきまではしっとり顔泣き虫だったのに、
これだとまるで色違いのヒナミだ。
「とりあえず座って!!」
◇
「ねえ、つまりどういうこと?」
「何度言ったらわかるの?
七瀬とよりを戻したいのよ」
「どうせあんたのことだから、自分から拒絶したんでしょ」
「わるい?」
「…ヒナミ対ヒナミだ…」
水宮はヒナミが来たことで元気を取り戻したようだ。
ヒナミが2人ってのも考え物だが、ずっとしくしく泣かれる方がよっぽどだ。
「ねえカゲ、私たちの敵は誰?」
「敵…?強いて言えば老化とかじゃ」
「そう!七瀬よね!?」
「そうだ」
「じゃあスイちゃ…。あなたの敵は誰?」
「もちろん金子華璃奈よ」
「ま、まさか…」
僕の頭部に電撃が右から左に走りかける。
「そうよ。そのまさかよ。利害が一致したわ」
ヒナミは僕のちゃぶ台の上飛び乗った。
「ようこそ天文部へ。歓迎するわ」
「そんなキメ台詞なんてあったか?」
◇
翌朝の日曜日、ヒナミから一通の連絡が来た。
『今日の9時天文部集合』
文字通り本当に一通である。
内容は何となく、どうせ水宮ミナ関連だということはわかっている。
ちなみにあの後、七瀬の家には帰れないということで水宮はヒナミの家に転がり込んだらしい。
本当は仲いいんじゃないか?
どっちもツンデレ気質だしなぁ
というわけで僕は、シャワーを浴び、制服に着替え、歯磨き…も一応しとくか女の子多いし。
◇
「あ、おはようございます」
僕が部室に入って誰一人声をかけないなか、花豊先輩だけは挨拶をしてくれた。
てっきりヒナミが『遅い。罰金』でも言ってくれるのかと思っていたが、そうではないようだ。
ていうか、ヒナミいないし。
「ねえ、みんな誰?どういうメンバーなの?」
水宮ミナ(以降スイ)がコソコソ僕の方へ話しかける。
どうやらアイカと花豊先輩と気まずいひと時を過ごしていたようだ。
「(これって紹介とかした方がいいのかなぁ)」
花豊先輩もアイカも基本キチガイなので、多分スイのことなんかどうでもいいとか思ってそうだしな。
「遅れたわ!」
ヒナミが遅れてきた。
ヒナミが来ないと始まんないぜ全く。
「じゃあ、会議をするわ!議題は夏休みの予定なんだけど…」
「ちょっと待て!スイの説明は…」
「ああ、そうね。水宮スイよ。七瀬に捨てられた
「屍よ!よろしく」
「ヒナミが二人になった…」
「よし、じゃあ作戦を立てるわ」
ヒナミはホワイトボードに『よてい』と書く。
漢字くらいかけよ。
「七瀬と旅行に行くことにしたわ。
スイと七瀬とカリリンとカゲでね!」
「は…?」
「本当はアイちゃんとハナちゃんとも行きたかったんだけど…
ほら?あれじゃない?なんというか…」
めずらしく言葉に気を使うヒナミ。
この二人には嫌われたくないという意思があるのか…
「大丈夫ですよ!ね?アイカちゃん」
「うん。遠慮せずいってこい」
「そ、それでなんだけどね…
私たちてさ、お金ないじゃん?」
「ああ」
「うん」
「はい」
「だから…バイトしたいんだけど…
二人にも私たちの分の旅費を稼いでほしいなてって…」
こいつ、自分で何言ってるかわかってるのか
だから珍しく下からなのか
「二人は奴隷じゃないんだぜ?
許可するわけないだろ」
「まあ、みんなでバイトするなら…」
「あいか暇だしいいよ」
いいのかよ!
◇
「ねえヒナミ」
「なに?」
「結局私にどうしてほしいの?」
「だから、七瀬とくっついてほしいのよ。
で、カリリンが余った所に天文部に勧誘よ」
「ねえ、私が七瀬とくっついて本当にいいの?」
真剣な眼差しで聞くスイ。
真剣の内側にはどうやら後悔や罪悪といった感情も秘めていた。
気がする。
「…それは、もう乗り越えたわ」
「そうッ。ならいいわ」
なんだか少しだけ決まづい感じで本日は解散となった。
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脇役紹介
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水宮ミナ(通称スイ)
ヒナミと身長体重が完全一致。
七瀬が最近構ってくれないので、文頭に『ねえ、』と前置きをしてしまう口癖が付いた。
趣味はニンニクを食べること。
倫理観のあるヒナミ。
左利き。
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