1部 間章
第19話 伏線を張りたい!
せっかちな
「校長は話が長い、なんてレッテルを貼られるのが嫌なので。これで終わります」
最先端を生きる校長は、誰も得をしないな終業式にて、そんな言葉で一学期に幕を閉ざした。
◇
「…ちょっと聞いてる?」
「あ、ああ聞いてるよ」
帰り道、無事に転校生を奪還するために神社へ祈願しに行きたいと言い出したヒナミ。
まあ近くにあるので二人で向かっている。
そういえば、二人で行動するのも、家に呼ぶのも。なんだか緊張しなくなった。
最初は心のどこかで『もしかしたら付き合えたりするんじゃ』なんて適当なことを思っていたけど、すっかり友達だな。
「おい坊主たち、ちょっと手伝ってくれないか?」
「え、まあいですけど。何をですか?」
見ると、探検隊のような風貌で神社の木の下を掘り起こしてる30代後半?くらいのおっさんがいた。
髭がよく似合う、俗にいう「イケオジ」というやつである。
「おう、これで掘ってくれよ」
「ちょっと!こんな道草食ってる場合じゃないでしょ!?」
「すまんすまん。用事があったのか坊主、女を大切にしろよ」
「なんで私がこいつの女なわけ!?」
「ま、まあまあ。手伝ったらいいことあるかもだし、やってみようぜ」
僕たちはシャベル(関西で言うところのスコップ)を渡され、指定の場所を掘り、土を採取して遠心分離機とかで使うかっこいい瓶に入れた。
「…これってなにしてるんすか?」
「水鏡市の地層が少し変でな」
「変?」
「ああ、詳しいことは全く分からんが、他の地層と全く違うんだ。それもちょうど水鏡市を境にだ。」
「はえー、そーなんすね」
「じゃ、なんかあったら知らせるわ」
「いえ、結構です」
「ああそう。じゃあこれやるわ」
おっさんは僕に赤褐色の石を渡した。
少しキラキラしていて見た目によらずっしり重い。
「まあ、お守りだ。神頼みするんだろ?持っておいて損はねえだろ」
「あ、ありがとうございます」
僕たちは参拝をしたあと、普通に解散した。
ちなみにヒナミはお賽銭箱に一円も入れなかった。
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脇役紹介
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神社にいたおっちゃん。
娘が一人いる。
居眠り運転を後悔している。
趣味は娘とかくれんぼ。
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