英語の物理法則解説

英語を学ぶと、まるで異世界の重力に初めて触れた気分になる。

その「異世界の重力」こそ、ここで言う“英語の物理法則”。

破ると文がぐしゃっと潰れ、守ると急に読みやすくなる。


ここでは、英語の世界で絶対に働いている基本法則だけを、シンプルに説明する。


―――――――――

1 英語の世界は「主語なしでは存在できない」

日本語は主語が霧の中に消えていても普通に成立する。

英語は違う。

“誰が”という核が無いと、文そのものが立ち上がらない。


I think / She told me / People say …

この「I」「She」「People」が抜けると、文が宙に浮く。


英語は“行動主体を必ず可視化する”という物理法則で動いている。


―――――――――

2 動詞は「宇宙のエンジン」

日本語は名詞で世界を作ることが多いけれど、英語は動詞が中心。

動詞を置くと、文は初めて動く。


run と sprint と dash が違うのは、

宇宙船のエンジンを交換するのと同じくらい意味が変わるから。


英語では「動詞選び=世界の描写」。


―――――――――

3 時制は“時間の方向”を厳密に決める

英語は、行動が「過去 → 現在 → 結果」のどこにあるのかを明示し続ける。


I did(過去)

I have done(過去の結果が今に残っている)

I am doing(今まさに進行中)


日本語はふわっと流れるけれど、

英語では時制を選び間違えると、世界線が歪む。


―――――――――

4 前置詞は「世界の境界線」

in / on / at / for / to …

これらはちょっとした飾りではなく、“位置と関係性を定義する地図記号”。


in → 空間の内部

on → 表面との接触

at → 点


日本語の「〜に」「〜で」より圧倒的にシビア。

ズレると、空中に浮いたり、勝手に接触したり、謎の方向へ飛び出したりする。


―――――――――

5 語順は「重力の方向」

英語の語順は、上から下に落ちてくるように固定されている。


主語 → 動詞 → 目的語 → 補語・説明


語順が変わると意味そのものが変わる。

これは英語世界の“重力”。

語順で落ち着く場所が決まる。


日本語は語尾の助詞が守ってくれるので自由度が高いが、

英語は語順が崩れると世界が崩壊する。


―――――――――

まとめると

英語の世界を支配するのは、

・主語の明示

・動詞中心主義

・時制の線形時間

・前置詞の境界線

・語順という重力


この5つの物理法則。


これを押さえると、英作文が「なんとなくそれっぽい文」から

「英語の物理法則に沿って動く文」に変わる。


さらに先に進むなら、

英語の“美しい省略”や“含み”の技法にも踏み込める。

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