二人の王子と姫がもてなす Cafe『紫庵』

雪村

第1話 雅な三兄妹

『私立・凌雲館りょううんかん高等学校』約150年前の明治5年の学制発布より端を発し、士族や華族、時の権力者らの子息・令嬢らが通い、令和になった現在も、財界の子息・令嬢の高貴な学び舎として機能している。平均偏差値は76、東大や国立大医学部への合格者も毎年多数輩出している都内屈指の超名門校である。

そんなエリートしかいない学校に、彼らから崇拝にも似た思いを寄せられる、三人の兄妹がいた……


俺らの、親父「燦之宮さんのみや雪ノゆきのじょうは地方の生まれ、名家の家に生まれたが、素行不良、中学の時に家(というか俺らの祖父さん)から勘当、廃嫡の危機さえあった、冴えないポンコツだったらしいが、(本人曰く)、友人のコネで超大手証券会社で、働いたら、水が合ったらしく、中卒だが、周りの学歴エリートを押しのけ(潰し)メキメキ頭角を現したらしい(本人曰く)そして父は、億単位の金を動かし、独立し、インサイダー上等、の勢いで稼ぐ敏腕トレーダーである。現在は都内の一等地に豪勢な一戸建てを建て、俺と年子の弟(ほぼ双子だが)、そして一つ下の妹と住んでいる、証券会社時代、親父の右腕だった部下の「影守護かげもりまもる」を執事に迎え(と、いうか、引っこ抜き)、使用人筆頭の女性は、ある接待で、茶の湯の席で会った「茶の道を究めるべくいる『久恩寺詩子くおんじうたこ』を、ヘッドハンティングみたいな形で迎えた。不思議だったのは、二人ともすんなり快諾したことだった……この二人が、俺たち三兄妹の教育係だ。武術指導は親父が指南する。親父は、燦之宮家に代々伝わる『燦流古式武術』の免許皆伝である。

 

燦之宮さんのみや家の次期当主、紫陽しよう様、と弟君の紫苑しおん様は、紫陽様は17歳、紫苑様は、16歳、都内の超名門校・凌雲館高校りょううんかんこうこうに共に主席で合格しました。開校始まって以来、二人での新入生代表挨拶は、初だったとか。

最初は紫苑様は、「年子とはいえ、年長の君がやれ!」と言ったらしいですが、「同じ点数取ったなら、お前にも登壇の義務がある!」……と無理やり紫苑様も登壇させたそうです。大講堂にいた教師・生徒は固唾を飲んで見守っていたそうな……

これからは三兄妹の御紹介です。

 紫陽様の得意なところですと、コーヒーへの傾倒が御強いですね、海外の産地、ブラジル・コロンビア・グアテマラ・インドネシア・エチオピア・タンザニア等に赴いたり、その為、イタリア語・ポルトガル語・スペイン語はマスターしております、ふふ……紫陽様の容姿はそうですね……紫陽様は綺麗な銀髪で前髪はまっすぐに切り揃えたスタイルで肩まである髪を後ろで束ね、瞳は美しい紫……女性と見まごうほどの美しさですね。

 説明だけ聞くと、華奢なイメージに聞こえますが、ですが、燦之宮家伝統の燦流古式武術では「師範」です……というか、限りなく免許皆伝ですが……

次は紫苑様ですね……燦之宮紫苑様、紫陽様と違い、あの方は、紅茶に精通しております。英語とフランス語も習得しております。容姿はそうですね、美しい銀の髪、前下がりのショートボブにしてらっしゃる。紫苑様も、お美しい紫の瞳で、いらっしゃいます。古式武術は「師範」御強いですよ。

ぁあ、あの方たちは、紫陽様は四月生まれ、紫苑様は翌年の二月生まれ、双子ではないですが、同じ学年ということで、二人で話し合って、敬語なし、敬称なしにしたとの事です。……ただやはり、古式武術では免許皆伝レベルの紫陽様には、心から尊敬しているらしいです。紫苑様は、フレンドリーな方なので、学内で、留学生の方と仲良くなり、英語・フランス語を習得したみたいですね。

あのお二人は、学内でも成績も容姿も運動神経も、ずば抜け過ぎて、周りの御学友の方たちからは「デュアル・プリンス」と呼ばれてるみたいですね。

最後に「姫」のご紹介ですね。

『燦之宮 紫月しずき』長女ではありますが、末っ子ですね年子の16歳、お嬢様も凌雲館高校に主席入学しております。日本茶、茶道に造詣があり「茶の湯」に関しては、久恩寺詩子さんから指導を受けております。

容姿は、美しく長い銀の髪と右眼の「紫」、左眼の「翠」の美しいオッドアイ。皆からは『ルナ・エメジスト』(月の女神「LUNA]+エメラルド《翠》+アメジスト《紫》)=『月銀の紫翠姫ルナ・エメジスト』と、呼ばれております。ちなみに紫月様も燦流古式武術を体得しており「師範代」です。並みの男では勝てないでしょう。

御三方は、部活には所属しておらず、学校が終わると、café『紫庵しあん』に三人とも向かい、お店で、それぞれの『おもてなし』をします。


では、物語の始まりです







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る