第2話 兄妹仲良きことは良いこと
燦之宮家の一日が始まった。御家お抱えのシェフ=親父がヘッドハンティングしてきた、三ツ星レストラン「ル・クワンド・の元「シェフ・ド・キュイジーヌ」=総料理長・門脇 宗高が、三人の朝・昼・夜の食事を用意する。今朝の朝食は「エッグ・ベネディクト」だ、兄妹三人とも、卵料理が大好きなのだ。卵は兵庫県加古川市から仕入れる「日本一こだわり卵」、それをポーチドエッグにし、イベリコ豚のベーコンとハム、それをイングリッシュマフィンに乗せ、シェフ秘伝「オランデーズソース(卵黄・レモン汁・無塩バター)割合は秘伝」が、かけられ供される……
三人はそれぞれ席で待ち、いざ目の前に現れると……眼からレーザーでも出たかというくらい、はしゃぐ、そして、三人は、両手を合わせ、
「頂きます‼‼」
三人は、上品に、でも黙々と微笑みながら、味わいながら、考えながら食す。
シェフの門脇は、この時の三人の顔を見るのが楽しみだった。上辺だけの無駄口をせず、自分の料理を真剣に食す姿が本当に、料理人冥利に尽きると感じさせてくれる……門脇は、この家に来て本当に感謝と喜びを感じていた。
食べ終わった、紫陽が
「門脇シェフ、今朝も最高の朝食を、ありがとう」
紫苑は、
「シェフのソースは反則だよ、とっても美味しかったよ、ありがとう」
紫月は
「……ごちそうさまでした、私も、いつかシェフのようなお料理を作れたらなって……思います……」
「お嬢様にでしたら、いくらでも、お伝え致します……今日も勉学頑張ってください」
「はい、門脇さん!皆さま行ってきますね」
「いってらっしゃいませ。紫陽様、紫苑様、紫月様……」
先に出て行った兄二人を追うように、トテトテと歩いた。しかし後ろから見ると、兄二人に対しての、周りの女子からの熱視線が凄い、心の中で、思わず「ひょえぇ……」と思ったくらいだ、(さ、さすがデュアル・プリンス……それを何気なしに二人和気あいあいと……)っと紫陽と紫苑がこちらを振り返った
「ああ、やっと来たか」
「忘れ物してたの?」
「んんん、お兄様二人って、ほんとにモテモテなんだと、後ろから来たら、痛感しました、ふふ」
「?……なんだ、そりゃ?」
「はは、紫陽は気づいてないだけかな。僕ら二人は、入学から学校で、かなり目立ってるんだよ。入学式の主席の挨拶、黙ってりゃいいのに、同点合格なら、お前も登壇の義務があるとかさ、ほいで学校創立以来初めての二人による新入生答辞」
「そうなのか……なら、これからの立ち振る舞いも、気を付けないとな……」
「大丈夫、大丈夫、僕がカバーするから」
「すまん、助かる」
「……てかさぁ、その綺麗な顔で、武士みたいな言葉……変だよ、前から言いたかったけど、でもね、悪いって意味じゃないんだ、ただ……なぁ紫月?」
「紫陽兄様は顔立ちが整い過ぎていますので、もし荒武者みたいな外見なら、ありですが、兄様の綺麗な顔で、その口調はどうかと……」
「ぜ、善処する……」
「ほら!そこなんです!紫陽兄様」
紫苑が紫月の肩をポンポンして、
「紫月君!君は傍観者のふりをしているが……オマエ、モテモテだぞ……」
突然の兄の言葉に身じろいだが、なんとか言葉を返す
「いきなりの揺さぶりに驚きましたわ、ですが、わたくしには、おりません!」(ふふん)
「……ぁ~んじゃ現状報告。お前には現時点で学内で200人の『信者』がいる」
「……信者?」
「そ、紫月は学校内でどう呼ばれてるか知ってる?」
「わ、わたくしですか⁈」
「その立ち姿が美しく麗しい、可憐で清廉、美しい銀の髪と、右眼の『紫』、左眼の『翠』の美しいオッドアイズ、皆からは『ルナ・エメジスト』(月の女神[LUNA]+エメラルド《翠》+アメジスト《紫》で、和名は、
「月銀の
……紫月は少し考え、
「え?わたくしが姫?」
「ってことで、紫月はファンが増えている、いいことだ!」
と、親指を立て、紫苑はサムズアップをして、ダッシュで校舎に向かった。
「紫陽兄様は、行かなくて良いの?」
「と、いうか、遅刻しないだろう、なんでアイツ走っていったんだ?この時間なら、妹とゆっくり登校したいからな……手でもつなぐか?」
「紫陽兄様……ぜひ」
王子と姫が手を繋ぐ……
紫陽王子と月銀の
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