第11話 ボロボロだが――
『スキルポイントを獲得しました』
「はい?」
急に脳内に声がしてきた。
というかステータス表が表示されている。
ちなみに、急に聞こえてきた声自体は、そういえばスキルを獲得する成年の時に聞いたことがあった気がした声だと、少しして気が付いた。
さすがにもう数千年以上前のことで、ピンとは出てこなかった。
というか、もう初めて聞いたと言ってもいいくらいのものかもしれないが。
もちろん突然のことに驚く俺だったが。脳内に声が聞こえたと同時にステータス画面が表示されているので確認すると――。
§
――スキルポイント(SP)獲得方法――
☆ ○○を作る。10000P
☆ ○○と○○する。1秒×100P
☆ 不遇な扱いを受ける。 1回ごとに5000000P
☆ ○○な○○を○×。 1人ごとに100000P
★ ○○する。 SP制限解除。
§
《使用可能5000000P》
「……」
生まれて初めてスキルポイントを獲得していた。
それも多いのか少ないのかわからないスキルポイント数を獲得している。
ちなみに突然のことで俺は完全に思考停止。何度も自分のステータス表を見ては明後日の方向を見て、再度見るということを繰り返して、少ししてちゃんとスキルポイントがあることを確認した。
そしてよく見ると獲得方法の1か所の文字が読めるようになっていた。
その言葉を自分の頭の中で読み返してからつぶやく。
「まあ確かにあれは不遇な扱いだわな――って、こんなのわかるか!」
そして1人突っ込みをしていると。
「――ここは……?」
1人騒ぐ俺の後方で声がした。
スキルポイントを獲得したことで、現状(意味わからないまま島流しになったこと)を少し忘れていたが。今の俺は数人と共に島に捨てられたところだった。
多分忘れちゃいけないようなことをスキルポイント獲得という声で忘れてしまうという――失態?を犯した俺だった。
声の聞こえた方を見ると今俺の後ろでは同じく船から捨てられた女性(確かずっと移動中も隅っこで震えていた人)が身体を起こしたところだった。
さらに、身体を起こした女性の横には、まだうつ伏せのままの女性がいる。
そういえばもう1人は周りが騒いでも終始静かだったので、もしかしたら弱っていて命が危ないのかもしれない。船では息絶えたものはそのまま海に捨てられるということが簡単に行われていたが。今わかることは俺を含めても3人しかいない状況。こんなところでもし――があるとなので俺はすぐに動いた。
最悪の事態だけは避けたい。そんな事を思いつつ何とか動けた俺は2人のところへと向かい。声をかける。
「おい、2人とも大丈夫か?」
「え、ええ――」
起き上がった方は俺が声をかけるとちゃんと返事をした。
そしてずっと俺たちは声が出せなかった。出なかったので、やっと同じ島流し組の声を聞いた。
「こっちは――生きてるよな?」
起き上がった方は何とか大丈夫そう。もちろん俺も含めまあこのままではダメだろうが。そんなことを思いつつ。もう1人ぐったりしている女性の方に声をかけ。肩をゆする。
もしこれで反応がなかったらどうしようか。
さすがに海に捨てるというあいつらと同じことはしたくないので――ちゃんとお墓でも作って――って、山奥での生活では野生動物が死んでいることがあるとその場で簡易的なお墓。埋めるだけだが。人でも同じでいいのだろうか?数千年生きていてもわからないことだらけだな。などといろいろ思っていると……。
「――お腹…………空いた――もう動け……ない」
「「――――――」」
意外と――元気そうな返事が聞こえてきた。
いや雰囲気的にはぐったりしているように見えるし。ボロボロなのだが。なぜだか雰囲気的にはまだ余裕があるように見る。
むしろこの3人の中で一番元気なのでは?と、思えるような状況だった。
そして俺が思ったことは先に身体を起こした女性の方も感じたのか。俺と同じような反応をしているように見えた。
ちょっと心配したが損した気分だ。
あと、無駄にいろいろ考えちゃった俺の時間返してくれ――いや、時間と言っても数秒か。そんなの今の俺からしたら――ちっぽけなことだから何も言わないでおこう
というか、もしかするとこの今もつぶれているような姿の女性は、俺が知る限る終始ぐったりしているような感じだったから。もしかすると無駄なエネルギーを使っていないので元気に見えるのかもしれない。多分身体にある擦り傷は船でできたものだろうし。服がボロボロなのは――まあ俺たち全員一緒というか環境が悪かったからな。風呂というか。身体拭きたいわ。
とりあえずだ。この場に居る全員が生きていることは確認した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます