第32話『修羅剣』
ラタラ鉱窟、その最奥。
開けた巨大な探鉱に――そこに、明確に今までの敵とは違う大きさの、30mはあるかといったような巨大な使い魔がいた。
大きさだけでなく、内蔵されている魔力も規格外だ。さっきまで切り伏せた個体の100倍以上。おおよそ、四死柱の連中と同等の魔力量を秘めている。
「ここが本丸――だよな?」
「はい……こいつが、使い魔を生み出している本体のはずっす」
「――初手で決めきる。行くぞ」
俺は剣を構え、地を蹴る。轟音。大地が震える音。俺の身体が空気を裂き、跳ねる。
全身全霊、体中に全ての魔力を流しそれを燃やし爆発させる。
(壊れない。まだ、壊れない――まだ)
燃やした魔力を剣に纏わせる。100、200、300、400、500。いままでならこれ以上魔力を込めたら臨界点に達して自壊していた。どんな名刀でさえ――。
「
600、700、800、900、1000、1100、1200。底なしだ。無限に――俺の限界以上の魔力を、こいつは受け止められる。
それだけに、それだけに。
(ああ――あの時、これがあればな)
ビアを倒した時にこれを持っていれば。
あんなことになっていなかったのではないか。
姉の形見にこだわり続けていなければ――。
「
巨大な使い魔の体が、一閃に切り開かれる。
だが、核を切れていない。剣じゃない、俺の精神がぶれたせいだ。
「ギャンキンギャンギンギャンキャンギンキン!」
「――!」
使い魔のカウンターとして放たれた刀の群れが俺の身体を貫いた。調子に乗って魔力をほとんど剣に込めたせいで、身体に纏わせる魔力が薄かったのだ。
痛い。冷たい。だがそれよりも。
「リペル!」
「だいじょうぶっす!」
「うし! もう一発、チャンスくれ」
気を取り直す。即死じゃないとはいえ、致命傷は負わせられたはずだ。焦らない、初心を取り戻す、万能感に酔わない。
目をつぶり、呼吸を整え、数瞬の瞑想。
問題は無い。
「ふう……。いくぞ」
体の重心をずらし、魔力を体に静かに込める。
大層な名前の付いた技ではない。ただの歩法、魔力を生かした歩法にすぎない。剣士だったら誰でもできる、基礎技の一つ。
何十本、何十mもの斬撃が俺とリペルに向かって襲い掛かる。
全て避ける。半分は視力で、四分の一は魔力探知で、残り四分の一は勘。
一瞬よりも遥かに短く、俺の身体は間を詰めた。後は斬るだけ。
「――破っ!」
何の変哲もない一撃。剣の長さが変わるわけでもない、ただの剣術だ。
その剣は、巨大使い魔の核を一刀両断した。
「キンキャンキャンキャンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキン!!!!」
巨大使い魔はそのまま力を失い、身体の維持ができず溶けていく。
「これって……」
「ああ、俺達の勝ちだ」
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