第13話 デート


「お前なぁ……」


「ごめんなさい! 冷がキスの話題を出してバズったので、ゆら先輩ともそういう事やりたいねって……」


「違います! 私が何も知らない火夏を教室に呼び出して無理矢理キスを迫ったんです! 」


「霧雨よ、悲しいかな日向の信用はある意味どん底だ。

霧雨が無理矢理キスをした……よりも、日向がそういう企画を目論んだ……の方が信憑性が高い。

そして、学校としては事実はどうあれそっち方面で進めるだろう」


「く……!」


「しっ……!」



よしよし、これでゆら先輩の評価低下も少しはマシになる筈。



「たがまぁ、霧雨が無理矢理キスをしたのだとしたら勿論いけない事ではあるが……日向は日向で百合営業が過剰気味だったからな。

思春期でそんな事をすれば本気で惚れた腫れたになる事もある。

違法でも無ければ人の配信内容に口出しはしないが、日向も少しは距離感を考えろよ?」


「善処します……!」



うーん、私としては百合営業はあくまで注目を集める為の手段で、周りの人もそれを承知で乗ってくれていると思っていた。

いや、最初は確かにそうだったのかもしれない。

でも、何度もそれを繰り返していく内に本当に私の事を好きになってくれたのだとしたら。

好きにさせてしまったのだとしたら……きちんと向き合わないといけない。



「失礼しまーす!」


「あれ、ネリアちゃん?」



そう決意を固めた瞬間、職員室の扉が開いてネリアちゃんが入室してきた。



「あ、居た居た! 火夏せんぱーい♡」


「え、ボク? 何か用?」


「んふふ〜♪ 以前のコラボで一つだけネリアのお願い聞いてくれるって言ってましたよね?」


「あぁ、うん。え、今……?」


「はい♪ 寧ろ今じゃないとダメってゆーか?」


「ボ、ボクは何を要求されるの……?」


「火夏先輩……練習休みの日にネリアとデートしてください。そして最後に……キスしてください」


「ひょえ⁉︎」


「ネリアも冷先輩やゆら先輩と同じく、火夏先輩に脳を焼かれちゃったので?

しかもそのお二人とはもうキスしちゃったみたいですし??

だったらネリアともしてくれますよね???」


「それ、は……」


「コラボでの約束は?」


「絶対……って程じゃないけど、完遂推奨、です」


「はい♪」


「お前等、教師の前で堂々とデートだのキスだのと……」


「いやですねぇ、これでも鹿倉監督には配慮してるんですよ?

黙ってこっそりする事だって出来たんですから。

ふふ、安心してください。不純同性交友……とまではいきませんから。

精々楽しく遊んで、最後に唇を合わせるだけのキスをするだけです。ね、火夏先輩?」


「え、あ、はい……?」


「はい言質取りましたー♪ ではでは、失礼しました〜♪」


「行っちゃった……それで、その、監督?」


「……まぁ、不適切な行為をしないと明言した訳だしな。キスはどうなんだと思わなくもないが……」



鹿倉監督は横目で教頭先生を横目にチラリ。

当の教頭先生は良い笑顔でサムズアップしていた。この学校の先生だからね。

寧ろ鹿倉監督がこの学校にしてはお堅いレベルだ。



「まったく、この私に宣戦布告とは……肝が座っているね」



そしてゆら先輩は静かに怒っていた。怖い……



※※※※※



「あ、火夏せんぱーい!」


「ちょちょちょ、あまり大声で名前言わない!」


「ごめんなさーい♪ 火夏先輩を見つけたら嬉しくってぇ……」



うーん可愛い。

小悪魔系ファッションも相まって普段の制服やユニフォーム姿よりも更に蠱惑的だ。だけど……



「それでも顔を隠して活動してる訳だからね。

今時顔を晒したりする人もそう居ないけど、秘匿性や神秘性を守るのもファンサの一環だから、ね?」


「はぁい……」



あ、思ったよりションボリしちゃった……



「えぇと……分かってくれれば良いんだ。さ、出発しようか」


「はいっ♪」



一転、笑顔になったネリアちゃんが指を絡ませて恋人繋ぎしてきた。

私もよく距離感が近いとは言われるけど、ネリアちゃんも結構グイグイ来るな。

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