第40.5話記憶の回廊昔語、麻宵と愛莉
昔、と言っても1000年以上前。
うち……麻宵は平安時代に土地神として過ごしていた。
この時代はとても裕福なものと貧相なものに分かれていて現在と変わらない側面もあるがそれでも、逞しく生きていて、とても魅力的なものたちが多く存在していた。
だが、そんなものはすぐ終焉を迎える。
それが、第一次神人戦争という大きな大きな戦争だ。
その戦争というのは、発端としてうちの娘である澪という少女にうちが与えた、四季神…という、作ってはいけなかったもののせいによって……西園寺家が攫い自分たちの欲望を叶える為に、作り上げた……人を超えた化け物。
邪鬼という、ものを作ってしまったがために人を襲わせ挙句の果てには人まで襲うようになってしまった怪物。
それを奴らは手懐け……
案の定、神を標的として数々の土地神、付喪神、仏までも手を出し自分たちが神と同じ……いや、それ以上の存在ということを示した。
そのために、命令としてこういうことを言ったということを一体の邪鬼から知った。
奴の脳内にはこう刻み込まれていた。
【神を殲滅せよ、一人も残らずに】
と……とても酷い、というか有り得ないことを命令していた。
ほんとに……とんでもない。
というより、こんなことなんて許されてはいけないということを平気でやってくるのが西園寺家だからな…しょうがないか……
と、うちの中で敢えてそういうふうにしたがそれでも怒りに身を委ねてしまっているうちがいる。
当たり前だ。
だって、澪を連れ去り……友達を殺されたんだから……
だから、うちとしては許すつもりなんてない。
それで……沢山、邪鬼を殺戮した。
殺戮……じゃすまないか。
言ってしまえば、西園寺家にいる陰陽師も家族も子供も、皆……皆……
滅ぼしかけた。
完全に滅ぼす前に……澪に止められてしまったのだ。
「もうやめて……お母様が人を殺すのなんて見たくない!!」
「……っ」
その時、なんて思ったかなあ……
ほんとに……馬鹿なことしたなかな……それとも、澪のためにやってたのに悲しませちゃったのならうちっている意味無いのかな…なのかな。
でも……
「ごめん……ごめんね……」
「お母様……」
「だけど……もう悲しませることなんてしない……ただ、容赦なんてしないよ。」
そうだ……そう言っていたな。
全然覚えてないけれど……うちはそう言っていた。
その時澪は、笑顔で……
「もう……無茶しないでね?」
「もちろん!!」
そう……言って、うちは戦い続けた。
いっぱい。
いっぱい。
いっぱい。
いっぱい。
いっぱい。
色んな人を倒した。
殺しはしなかったけど……
沢山……沢山……沢山……沢山……沢山……沢山……沢山……沢山……沢山……沢山……沢山……沢山……沢山……沢山……沢山……沢山……沢山……沢山……沢山……沢山……沢山……沢山……沢山……沢山……沢山……
怪我をさせた、立ち直れないくらい殺すくらいのことをした。
でも、やっぱりやっていて虚しいと思ってしまった。
戦うのが嫌になってなのかな。
だから……
うちは唐突に……
消えてしまうことになる。
全然、予想もしてなかった。
ただ、その時は楽になれると思った。
ずっと……ずーっと…
苦しんでた。
澪を守るためにって思ってた思いが……ずっと苦痛になってたんだな。
ほんとに…そう感じた時は、自分が親失格だと思ったよ。
「ごめんね……澪」
そう言い、うちは光に包まれる。
その時に思ったのが……
澪は悲しむよな……辛いよな……苦しいよなってこと……
ほんとに……ほんとに……ごめんな……ごめんな……
ほんとに……うちは…ばかだ。
そうして、うちは死亡した。
一人娘残して……
……のはずだった。
なんでだ?
どうして……意識があるんだ?
身体がないのに……こんなに意識があって……
さまよってい……
あー……完全に理解した。
自分の身体は今、御霊のような状態。
しかも実体化していない
ということはうちは今、彷徨神か……
文字通り、彷徨い続ける。
何かに定着するまでという……なんとも地獄な状態ということか。
聞いたことはある程度の事だが……まさか、ほんとにこの状態になるとは思わなかった。
さて……
このまま、彷徨神として居続けて澪の元に行くか……
それとも……
適当に何かに定着するか?
まあ、刀とかの方がいいんだろうが……
いや……思ったが、この状態になってからどのくらい経ったんだ?
確か……200〜500年くらいは時間がかかると聞いたが……
ほんとにそうなのか?
「はぁ……どうすればいいんだ」
少女?
まあ、こんな森……
森って、気づいたらこんな所に来ていたのか。
まあ、どうでもいい。
困っている表情をしているが……
うん、無視無視
「あ……」
ん?
なんか見られてるような……
「じー…」
気のせい気のせい……
見られてるなんて、嘘嘘。
あ……
「うぅ……」
やっぱり……
無視は……出来ないか……
というか、うちが見えるのは凄いことなんだけど。
それに気づいてないこの子はなんと言うのか……
『で?どうしたのさ』
「はぁぁぁぁ……神様……ほんとに神様だ……」
どうやら、見るのが珍しそうだな。
神様が珍しいなんて……
そんなにうちがいた時代よりどのくらい時間が経ったのかな。
「えー?それはわかんないけど……でも、神様ははじめてだよ?」
『そうか……なるほど』
この子に何かを聞くのも無駄な気が……
まあでも……
「『この人(神様)とは長い付き合いになりそうだな』」
え?
「え?」
今…なんて言ったの?
分かんないけど……
【グルルルル……】
今の声……
まさか、邪鬼か。
「聞こえた?」
ああ。
「なら……あたしの実力を見せる時だね。」
見せる時って、何をする気?!
もしかして、邪鬼を殺すの?!
いやいや……そもそも人が殺せるほどの弱さじゃ……
そう考えていると襲ってきた。
やはり、うちが知ってる頃と変わらない姿をしていた。
「ふふ」
笑ってる場合じゃ……
いや、当たり前か。
この子はなんか違うと思った。
違うというか、強すぎる
そんなふうに、思った。
「はぁっ!!」
振り向き、抜刀し邪鬼の首を斬った。
呆気なく……
人々があれだけ、苦労して殺していたのに……
この子が……
「それで……あたしの話なんだけど…あたしの仲間に、なってくれないかな」
これが、うちと愛莉ちゃんとの最初の出会い。
to be continued
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