第40話救出
「それは、どういうことか……」
そう言いかけた時、奴の視線には何が飛び込んできたのだろうか。
ウチは……多分、こいつから助けてくれると思ってたから信じていたけど、こいつは多分そんなことを思っていなかっただろう。
こいつは、恐らく諦めているだろうと思っていたのだろうな。
まあ……あんなのを見せられた後に助けが来たら誰だって驚くだろうな……
だって……ウチだって驚いた。
カンナちゃんなのは分かっていた……
けど、カンナちゃんはいつもモヤにかかって見えないはずなのに……
でも今日は……見えた。
銀髪の……ウチのお母さんそっくりの……
カンナちゃんが……!!
でもこいつは普通じゃないから驚く……というより排除する行動に出るだろうな……と予想通りにその行動に出ていた。
「やはり……」
即座に御霊を呼び出し、右腕を前にかざした。恐らく行けと命令したのだろう。
御霊達は、ウチが創り出した結界を破りウチの方へ向かうカンナちゃんに向かっていく。
「巴!!」
「カンナちゃん!!御霊!!」
「分かってるよ!!失せろ!!」
そう言うと、御霊は消えていった。
こんな一瞬で……そんなこと……
しかも、これって……
「呪言……言霊か」
「よく、知ってるな」
「そりゃあね、僕は日本武尊でもあるんだよ?知識量は豊富なつもり……なんだけど君は初めて見たかもなぁ。」
わざとらしい……
いや、この言霊自体も知ってるようだが実際見たのは初めて……そんな感じだろ。
「無事か?巴」
「う、うん……カンナちゃん……モヤは」
「ああ、外れちまった。」
ウチの傍に来たカンナちゃんはそう言った……だけど、ずっとつけていたものがすぐ消えるものか?
いや、確か前にこの状態は見たことがある。
霊力切れの時……か。
「大丈夫、お前が想像してる状態じゃない……ただ、あいつを助けようとした時に消えただけだよ。」
「わかった……」
やっぱり近くで見てもお母さんに似てる……
どうして、だろ……こんなに懐かしく思うのは、ほんとにカンナちゃんはお母さんなのかな……
「雑念はやめとけ、今はこいつだろ?」
「う、うん」
まずい……
動揺しすぎて諭されてしまった……集中しないと……
だけど……
散っていくウチの結界と合わさって凄く……綺麗だと思ってしまった。
「でもまあ、君たち二人で僕をどう殺すんだい?」
そう言われたら……確かにそうだ。
今のウチじゃ倒せるかどうかだけど……カンナちゃん勝算ある?
「そんなの考えてんならここには来ねぇよ」
「だよね」
でも、なんだか安心した気がする。
だって、これがカンナちゃんなんだから!!
ウチも安心して背中任せられるよ!!
「ふふ」
「どうして笑っていられるのかな?」
「そりゃ、隣に居る式神こそウチと同じ最強だから!!」
自然と湧き上がってしまう……このよく分からない強い思い。
それを……カンナちゃんと共に居れるから不思議と安心してしまうのだろうな。
「まあいいさ、死ぬ準備は出来たか?」
「残念ながら……死ぬ気など毛頭ない。」
そう言い葵ちゃんを端に置く。
傷つけないように……
そっと、優しく。
さて……
こいつを倒す準備は出来た。
覚悟も出来た。
絶対、生き残って……葵ちゃんともう一度幸せな日々を送るために!!
「ふっ……そんなに僕を倒せると思ってるのかな!!」
「ああ!!そのつもりさ!!」
「ウチもね!!」
最初から全力で行こう。
気を全開にして……
ウチは、奴に光弾を放つ。
「聖!鳳凰!!」
「八咫鏡!!」
鳳凰の形をした光弾とカンナちゃんが放った光弾が奴に向かい……爆発した。
恐らく……奴の守護領域か……
「神の攻撃を防ぐなんて……ありかよ」
「常識が通じないからね!!」
幻刀一閃、神越え!!
一閃が回転し……届く頃には威力が増してるはず!!
おまけに、一閃の軌道が読めないから防ぐことは不能なはず!!
当たれ!!
やはり虚しく、爆発するだけか……
「光陣!!」
しかしカンナちゃんもウチの攻撃が当たるのと同時に八咫鏡を凝縮させた一撃を放った。
確か……守護領域の展開は無限ではないはずだから!!
「いける!!」
「無理だね!!」
光陣は守護領域に当たり続けている?!
これは……いけるはずだ!!
「くっ……」
顔が歪んでいるから……もしやとは思ったが霊力切れか!!
「巴!!行け!!」
「わかった!!」
そう言うとウチは、奴に向かい走る。
ウチの今ある霊力の最大の一撃をあの守護領域にぶつけるために……そして光陣を奴にぶつけるために!!
「うぉぉぉぉりゃぁぁぁぁあ!!!!」
一撃じゃ……
だめなの?
いや、諦めるな!!
これがウチの……最大の一撃……これこそが!!
ウチの……!!!
「全力だぁぁぁぁあ!!!!」
完全に領域がその刹那割れた。
「ありえない……僕の……完璧な領域が……」
「これが、諦めなかったものたちの強さだよ、たける」
ウチがそう言った瞬間、光陣は奴に当たった。
ありえない……と言い続けたからこそ奇跡を、信じたものの力を知らないのだ。
「ありえない……どうして……」
「言い続けろ、クソガキ」
口が悪い……と思ったけど、まあここまで苦戦させられたんだ。
そりゃいいたくなるよね。
だけど……それ以上にここからどうやって脱出しようか、そしてカンナちゃんの正体は何者なのかということ。
それを一番知りたい。
「ふふ……あはははは……」
「何がおかしいクソガキ」
「君は……正体を明かしてあげないんだね……」
「……」
奴の戯言か……それとも、本当のことなのか……分からないけれど……でも、もしかして……
やっぱりウチが考えることと同じことなのかな……
「クソガキ、死にたくなかったら立ち去れ。出なければここで死ね」
「いいのかな……?僕にそんな脅しをして」
意味深なことを言う。
脅しくらい……いいものだとは思うが……
こいつの場合は何があってもおかしくない。
この状態なら絶対何かが来そうなのは容易に想像出来る。
「どういうこと?」
「さあ、それはどうかな」
「……」
「カンナちゃん?」
「……」
そりゃもちろん……応えませんよね。
というか、カンナちゃんは絶対過去のことははぐらかす。
なら、知ってそうなこいつには癪だけど聞くしかないか……
「……教えて、出ないと……」
「ふふ……もう時間みたいだ。」
「「何?!」」
奴が、時間と言った瞬間。
この空間の崩壊は始まった。
白い空間だからかすごい綺麗な破片が落ちていく……
いや、それに見とれてる場合じゃないな。
だけど、あと少しで聞けると思ったのに……
いや……いやいや……
ここで奴になんで期待しているんだ……
「まあ……ここで消えるから……言ってあげるよ……こいつの正体と、カンナ……君が求める奴の場所……さ」
力尽きている感じがする……
やはり、さっきの光陣なのだろうか。
いや、こいつは恐らくわざとそういう振りをしているのだろうか……
「言わなくてもいいのかい?」
「……言ってもいいが、巴は話がある」
「わかった」
「それじゃあ言うよ」
話……ということは、恐らく。
カンナちゃんの正体は……
「カンナ、君の正体は麻宵……君の母親だ。違うか?」
「……」
「……」
「やはり、な。まあ僕も知っていたよだけど、次が本題だ……」
やっぱり……考えていた……予想していたことを言われたからか……
すごい悲しいというか……複雑な気持ちになってしまっている自分がいる……
だって、死んだと思っていたウチの母親がこうして生きていてずっとそばに居たなんて……
混乱しか、しないよ……
やっぱり……これは……どうすればいいのか分からない……
気持ちの整理すらつかない……
いや、つくはずがない。
嬉しいのに……嬉しくない……
これが今の気持ちなんだろうな……
ほんとに……
よく、分からないな。
「ばいばい、澪。また会おうね」
奴がそう言うと……気がつくと、りびんぐに戻っていた。
混乱……というか、よく分かってない状態だ。
だから……その、ちゃんと帰ってきた気がしない……
「澪……なんというか……今、言うことじゃないかもだが……」
「なぁに……?」
「おかえり」
「……うん、ただいま」
to be continued
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