第19話土地神様と西園寺家、本家への誘い

「あのさ、巴さん…お願いが、あるんだけど……」

 と、葵ちゃんからすごい申し訳なさそうに切り出された。

 なんか、言いづらいことでもあるのだろうか?

 というより、すごい嫌な感じがしてるのは……全然気のせいじゃない気がする……


「どうしたの?すごい言いづらそうな雰囲気しか感じないけど」


「ま、まあ……うん、実のところをいえばそう。」


「もしかして、嫌な予感がするのは葵ちゃんと関係ある?」

 そう言うと静かに頷いた。

 なんというか……多分だけどウチの嫌な予感がするというのは西園寺家のことが関係してるんじゃないかっていうことだ。


 だって、葵ちゃんのこの一言二言だけでも分かってしまう。

 まるで、今の幸せが壊れてしまう…そんな感じがしてしまった。


「絶対今思考読んだ……」


「あはは…まあ、気になっちゃって」


「む……これ、その…カンナちゃんには聞かれたくないからさ…巴さん、結界張って欲しいな」

 結界……結界か。

 まあ、いいんだけど多分、カンナちゃんも容易に侵入出来ると思うし、葵ちゃんの隠し事なんてすぐ分かっちゃうだろうからあれ使うか……


「いや、結界じゃなくて異空間の方がいいかも」


「異空間?」


「知らないか、まあ神様だけが使える三種の神技の一つだね」


「三種の神技……」


「それ使って話すから待っててね」

 そう言い異空間を出そうとした時……


「で?誰に秘密にしたいって?」

 とよーくよく知ってる声が聞こえた。

 まあ…黙っていられないだろうな。だって秘密にして欲しいなんて言ったら気になってしまうだろう。

 それに、彼女にとって葵ちゃんはそれだけ心配するほどの存在だからしょうがないだろう


「ぎく…カンナちゃん……」


「あたしに秘密にしたい、ねぇ」


「ゆ、許されませんよね……」


「当たり前だ、あたしにも聞かせろ。」

 だいぶ怒ってる……

 いやまあ、これだけ信用してる人に秘密にしろと言われたらそういう反応にもなるか…


「巴、やってくれ」


「わかった、鳳凰陣ほうおうじん爛漫らんまん極!!」

 辺り一面朱色の空間で包まれ、外からの侵入などを全てにおいて遮断する絶対空間を作り出したからとりあえず、葵ちゃんが話せる場所は出来たかな。


「さあ、話してもらおうか」


「こ、怖いよ……」

 まあ、確かに怖いがウチもそろそろ気になるから話して欲しいものだ。


「そもそもだが、あたしに隠し事しないと言ったのはどこの誰だ?」


「う…」


「なら、話してくれ?」


「はーい……」


『まあ…何から話せばいいものか、一番は今日西園寺家に久しぶりに呼ばれまして…』


『え!?嘘?!』


『はい…そうです。まあ、私が巴さんと契約したじゃん?』


『うん』


『それで、また神と契約したのかってお祖母様とが来て』


 ん?

 ちょっと待って?本家の方?

 葵ちゃんって、本家の西園寺家の人間じゃないの?


『あぁ、言ってなかったっけ…』


『そういえば、そうだったな』


 何何?ウチに隠し事?

 というより、葵ちゃんのこと全然知らないからほんとにそういうことから知らないといけないかもしれないと思う……


『あ、えっとその……落ち込まないでね?あのね…私、本家から分家に養子に出された……まあつまり、次女だったからなのかな?それもあるけど……』


『一番は、分家には子供が居なかったからなんだとよ』


『なるほど…』


 なんというか、複雑な家庭事情を聞いてしまったみたいだ……

 まあ、西園寺家は最低なところだと思っていたから早く潰してしまおう……

 それは置いておいて…


『で、本題はどういうことなの?』


『あっ、そっか。本題なんだけどその本家の方……つまり、私のお父様かな?が来て私にとあることを言ってきたんだよねぇ……』


『とあること?』


『「お前と契約した神を一目見てみたい」だってさ』


『はぁ…』


 相変わらず上からだな……

 会ってもないのに凄い傲慢な態度だったのだろうということが想像できて殺意が湧いてしまう。

 どうせ、前髪を刈り上げて無骨な顔をしていて灰色の着物でも着てるのだろうと思うと余計想像した自分を怒りたくなってきた


『会ってみたい……ねぇ、ウチはお断りだよ』


『だよね、そう言うと思った…だから、多分会いたくないって言うかもって言ったら』


『言ったら?』


『「それなら殺しに行くまで」とのこと……』


『はぁ……相変わらずだなぁ』


 相変わらず…というより、当主が変わったところで本質は変わらないのか。

 いや、変わっているのだろうが当主だけもしかしてずっと初代の霊が取り憑いている……なんてことを考えてしまうが。

 流石にそれはないか。


『それで……どうする?』


『どうすると言われてもね、私的には誘いに乗るのは絶対に嫌』


『だよね……』


『あたしは逆にいいんじゃないかと思うが』


『どうして?』


『まあ、親玉の顔を見ておくのもいいんじゃないのか?それでどんなやつかだけ知っておけば西園寺家の印象変わるんじゃないのか?』


『まあそうだね』


 いや、印象なんて変わったりしない。

 最低最悪の陰陽師を生み出すようなことまでしておいて自分たちはまだひっそりと生きているだなんてほんとにありえない一族だよ。


 まだ宮野や寺田の方が良かった。

 和解して、西園寺家を潰そうとする事に協力してくれたから。

 でも、最後まで西園寺家と安倍家はウチに敵対していたからこそしぶといしほんとに今でも嫌いなのだから。


 でも、葵ちゃんは別だけど。


『どうする?行く?』


『ん…しょうがない、少しでも気に入らない事があったら帰るよ』


『ありがとう…ほんとにごめん…』


『どうせ奴らの事だから早くウチに会いたいんだろうなぁ…まあ、今から来いって言ってるようなもんなんだろうけど』


『おいおい、今から行くのか?』


『当たり前でしょ?だって、そちらさんだってそのつもりなんだから。』


『まあ…うん、その通りだよ』


『はあ……相変わらずだ。とっとと滅ぼしてしまおうか』


『私もそうしたいけど……でも、今は我慢ね?二人とも』


『はーい』


『わかってるよ』


(全然分かってないだろうなぁ)

 なんて思ってるんだろうな。

 まあ、初対面でいきなりムラサメを抜くほど非情な性格をしてる訳では無い。

 とりあえず、西園寺家の当主は逆鱗に触れたから切るそれだけだ。


『それで?ほかなんか言ってた?』


『あっ、えと、「まだくだらない式神でも作ってるのか」って言われたけど……式神なんて作ったら呪いが発動するから無理だよって言ったんだけどね…なんの事か分かる?』


 西園寺……

 くだらない式神って、お前が言うか…

 西園寺家が創ったほんとにくだらない式神。

 物を大切にする付喪神を信仰していたはずなのに五百年前に起きた戦争で在り方が変わってしまったのか……


 まあ、そんなことなんてウチには関係ないけど。

 実際アイツらが創った式神はウチの式神の劣化版だし。

 最初に式神創ったのはアイツらってことになってるけど、本当はウチなんだけどな。


 神と付くものを使い捨ての駒のように扱うあいつらはほんとに納得いかない。


 いや、納得いかないというよりアイツらの考え自体に納得がいかないんだろうな。


『と、巴…さん?』


『ううん、なんでもないよ。ただ、式神って言葉に引っかかっただけだから』


『そっか、何か関係してるの?』


『ううん、なんも無いよ』


『で、でも』


『葵、それはほんとだよ。』


『そっか……わかった、そうしとく』


『助かる』


 言えないのが辛い……

 でも、これはしょうがない事……

 まあ、西園寺の掟が今では一家相伝の呪いのようなものだから式神と言えば呪いが発動してウチ達が死んでしまうことにもなるからこればかりはしょうがない。


 でも、式神を禁止してるはずなのにどうしてウチ達は式神になれたんだろ?


 この矛盾に、気づいてはいけなかったのかもしれないと思ったのはそう遅くなかったけどね。


 とりあえず結界を解き葵ちゃんが行ける準備が整っていることを確認して……

「さて、行きますか」


「ほ、ほんとに行くの?」


「いいんだったら行かないけど」


「いや、私も嫌になる前に行きたい」

 まあ、行かないなんて選択肢ないんだろうけどね。


「さて、行きますか。西園寺家へ」


 to be continued

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