第14話全てを明かす時、澪の罪
「さて…何から話していいものか…いや、見せたらいいものか…」
ウチは悩んでいた。
過去を、罪を、全てを葵ちゃんに明かすと言ったのは良いものの何を話せばいいのか全然思いつかない。
思いつかない、わけではない。ただ、話そうとしていることがあまりにも多いからそれを話しても話しきれない可能性があるから困りものなのだ。
「そうだね、まず一番は……あいりさんの事かな」
「愛莉のこと?」
そうか…詳しく見てないもんね、あの子とのことって…
愛莉…愛莉のこと…
『澪は、私の事好きか…?』
『れーいっ、今日もしよーぜっ』
『澪のこと、全然越せる気がしないなぁ〜』
『ほんとに、お前は鈍感だなっ』
『ばーか、あたしは死んだりしねぇよ。ずっと傍にいてやる。』
「…///」
「と、巴さん?」
なんだろ……すっごく恥ずかしい気持ちになってきた……///
これから…馴れ初めを見せるわけだけどここまで恥ずかしいと思ったことないよ…///
だって……巴とのあのこととかも……
嫌だよ言えないよ……///
もしかして、話した内容も言うとか…
「あっ、大丈夫それはないから安心して?」
「それなら…いいんだけど……」
なんというか…話すということ話すこと…もしかしたら葵ちゃんが妬いちゃうんじゃないかと思うんだけど……
「む…それなら、いいです。でも、ちゃんとその事も教えてください」
「は、はい」
さっきより怒りが増したような…
気のせい…気のせいだ…
(愛莉さん、何したんですか?ほんとに、私の澪さんに何をしでかしたと言うんですか。可笑しいですよね?何やったか知りませんがトラウマを植え付けないでくださいよ。もしかして…)
な、なんか……凄い思考が……
とりあえず…落ち着けないと……って、落ち着くのかこれ?
しかも、凄い笑顔なのに対してなんか…凄い黒い気が出てる……
「はぁ…とりあえず葵は落ち着けな?」
カンナちゃんがいつの間に来ている……
どうして?!
まさか、葵ちゃんの思考が凄かったから来たのかな…?
「落ち着けと言われてもカンナちゃん、私の澪さんに対して何かした女の事を処さずにどうしろと言うのか」
「まあ、まず……その女の事は処さずとも死んでるからな?」
冷静に言うけど、ウチの好きだった人だよ?
なんかちょっと怖い感じに言ってるのは、本気で言ってるのか分からないけど。
でも、ウチを気にかけてるの…?
それなら…嬉しいけど…
「そうだね…そうだった…」
それで納得しないでね?怒るよ?
ムラサメでも出そうか?
「巴もとりあえず、こいつに調子に乗らすなよ?」
「で、でも…」
「でもじゃない」
「はーい…」
何故かウチも怒られる流れになってしまった……
ちょっと反省…
でも関係ないけど思ってしまうのは、カンナちゃんが凄いお母様に似てるってこと。
だって、死んだと聞かされているの…というより目の前で死んだのを見たから今更生き返った…なんて聞かされたら怒る以外選択肢は無い。
でも今は…いいか。
「とりあえず見せてくれよ。お前の全部」
「分かった。ふぅ……我の全てよ、集え。そして過去を開示し陰陽の天秤が交わるとき、全てを満たせ!霊視開墾!!」
詠唱が終わると、ウチの中から狐のようなものが二体出てきて巻物のようなものを出し映像が映し出される。
ウチはそう言うと意識をそっと手放す。
その刹那、あの子の笑顔を思い出してしまった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ウチが犯した罪、皆には知られたくなかったことの一つ目は愛莉ちゃんとの間に起きたこと。
こんなことがあったから……
いや、あんなことをしてしまったからこそ…
『全く愚か者が』
――
『うがっ…』
いきなり、愛莉が撃たれて―――
――――――――
『あいり!!』
『れ、れい…』
心臓―――――か出血が―――――ない。
いや…―――撃たれたら死ぬ。
だから、遅かれ早かれ死んでし――
もう助からないのだから、しょうがない。
『そこの神、我が西園寺家の陰陽師を――』
『惚けるでない!!我々の大事な大事な愛莉が貴様と戦い、いつもやつれて帰ってくるものだから心配して様子を見たら貴様と戦っている所を目撃してな。だから、貴様にトドメの一撃を放ったら愛莉に偶然当たった!だからこそ、愛莉は貴様が殺したのだ!!』
なんてことも…なかったのかな…
千年前のある日…
いつものように、愛莉はウチに挑んできた。
でも、その日は全然様子が違った。
挑んでくる様子は、変わらなかったけどでも、攻撃にキレがない。
ウチを倒そうとする意思が全然感じない。寧ろ、この戦闘を終わらせる感じがしない。
そんなことを思ってしまった。
それは、どうして?
いつものようにまた明日来て終わらせればいいのに…
「はぁ…はぁ…休憩にして、いいか…」
相当汗ばんでいる様子。
いや、疲労も一気に来ているように見える。
何か、隠していることがあるように思うんだけど……
「ねぇ、愛莉ちゃん何かあったの?」
「何かって…なんも無いよ…」
「その反応、何か隠してる」
「……」
黙ってしまった。
やっぱり、何かを隠してる。その何か、っていうのは分からないけど多分愛莉ちゃんにとって嫌なこと…
言わなくてもいいけど…でも、気になる。
「言わなくてもいい、でも…こんな気持ちのまま戦うのは嫌だよ」
「……すまない…だが、言った方がいいよな…」
「うん…でも、無理しないで…」
「いいんだ。気にするな。」
やっぱり重々しい雰囲気だ……
嫌なこと…それか、相当苦しいこと…
愛莉ちゃんにとって、知られたくないことなのだろう……
「あのな…澪…」
「うん」
「私……近々、嫁に出されることになったんだ…」
……
は?
待って…?
全然…全然理解出来ない……
今になって、そんなことを?
嫁に出されるって…嫌だよ…
そんなの、そんなの納得できない、するはずがない…
今まで放任しておいて、今更…彼女のやってきたことを無駄にするようなことをさせるのか……
どんな愚か者共なのだ……
いや…そう考える暇なんてない…
「愛莉ちゃん…ウチ…」
「いいの…もう、覚悟は決めたから」
「覚悟ってそんな……」
こんなの…こんなのってないよ…
酷すぎる…
酷すぎるし彼女の意識すら汲み取らずに勝手に決めるだなんて……
「だから、翌週で最後。もう、来ることなんてないんだ……それを伝えに来たんだ。」
「……」
恐らく、突然そんなことを伝えたんだろう。
さもなければ、その神を排除すると。
そんな脅し、乗らなければ良いものを……でも、どうしてそこまで……
そこまでしてウチのことをこんなに拘るの?
「よし、休憩も終わったし続きをしようかって澪?」
ウチは無心で愛莉に近づいた。
訳が分からない。
自分で、これからしようとしていることや愛莉に何を言おうとしてるかなんて考える事も出来なかった。
いや、分かってる。
分かってるつもりだ。
だって多分、この胸に秘めている思いは計り知れないほど、大きいものなのだから。
「愛莉ちゃん…ウチね、ずっと隠してた思いがあるの…」
「な、なんだ?」
「ウチ…愛莉ちゃんのこと好いてると思う…」
「え…」
こんなに…こんなに胸が苦しく思うのは…変だ。
ウチは何言ってるんだろ…
だって好いてるだなんて…
そんなこと、あってはいけないのに……
愛莉ちゃんは…そんなこと、思うはずないのに……
どうして…諦められないんだろ…
「そうか…そうだったんだな…澪…」
「ごめん…忘れて…ウチ変なこと…」
「私も…澪の事、好いてる。こんなに、戦い合ってるはずなのにな……全然お前のこと、嫌いになれないんだ……」
嘘…
そ、そんなことって……
気持ちが、通じあってたってこと?
「あは…あはは…すまんな…ほんとに変なこと言ってしまった…ほんとにすま「いいの」
「いいんだよ、愛莉ちゃん。今日は、ウチの事酷いことでもどんな事でも、していいよ」
そんなことを言ってしまった。
それが、ウチの罪だ。
人と神は混じりあってはならない。
神の掟であり、もし破ったら処罰として永遠の苦しみを味わうことになるという……とても恐ろしい掟を、ウチは破ってしまった。
大切な人を、繋ぎ止めるために。
ウチ達はその後、接吻をし合い本殿の中に入ってから本気で愛し合った。
境遇など関係ない
掟なんて関係ない
ウチ達は分かり合えているということを確信しながら。
これが、ウチの隠すべき、恥ずべき真実。
to be continued
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