この作品の強みは「主人公が酷い目にあいながらも必死に立ち続ける姿」にある。
今の流行りでは「酷い目」ばかりが前に出がちだが、本作はそこに終わらず、
立ち上がる姿そのものを物語の核に据えている点が大きい。
序盤から、燃やされた部屋、嫉妬に狂う妃たち、仕組まれた陰謀――
それはただの悲劇ではない。
だが彼女は折れない。
傷つき、倒れそうになっても、必ずそのたびに立ち上がる姿、単なる受難譚ではなく、逆境を生き抜く人間像へと昇華している。
また、繰り返し使われるモチーフ「紅い瞳と白い花」は、
血と純潔、憎悪と希望を象徴し、作品の空気を一層際立たせている。