狂氣の果て〜クルーエル・デッドエンド〜

小鳥遊 マロ

第1章:必要な犠牲

第1話 カミサマなんているの?

「ねぇ、ママーっ!」

「なあにニナニナ?」

 コンロを見ながらつまみをゆっくり回し、フライパンの火加減をいい塩梅に調節しながら、女性は具材を一気に放り込む。

 すると、じゅうーっと具材は悲鳴の音を上げる。

「わーっ」とその様子をいすに上って見ていた、子どもながらの大きな瞳を持つメドーグリーン髪の少女は感嘆の声を漏らした。

「それでニナニナ。聞きたいことがあったんでしょ〜?」

「うんっ!」と少女は大きく頷き

「──神さまって、いるの?」

 少女は期待のまなざしを向けていた。

 自身が一番信頼できる人物に聞いたんだ。

 自分にとって、きっといい答えが返ってくると、そう思っていたのだ────。

 女性は火を消し料理の手を止め、いすの上に立つ愛娘を両手で抱えると、ゆっくりと下に下ろした。

「えぇ、神さまはいるわよ」

 可愛い娘の目線に自分の目を合わせるようにしゃがみ、そうやんわりとした口調で微笑みかけた。

「本当に……?」

「本当よ」

「本当の本当に?」

「本当の本当よ」

「…………そっか〜。やっぱり、って、いるんだ、ね〜」

「でもどうしたの? そんなこと突然聞いてきて──」

「ううん、聞いてみただけーー」

 満面の笑みでそう答える無邪気な娘に「そっかー」っと笑い、母親は娘のさらさらした手入れの行き届いた緑髪をくしゃりとやさしくなでた。

「えへへ〜っ」

(……なんだろうこの気持ち……ママになでられると……とてもふわふわする)

 満足したのかニナニナは母親から離れていった。

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