初恋②
早朝に鼻歌を鳴らしながら、
包丁が、まないたを叩く音が聞こえる。
音が聞こえなくなると、ガスコンロから香ばしい匂い。
どうやら、ウィンナーを焼いてるようだ。
次は卵焼き、彼女はお弁当を作っている。
最後にチャレンジ二回目、ウサギの形をした林檎をお弁当に入れた。
昨日作った傷は治り、絆創膏を外して、エプロンを取る。
「今日は昨日よりウサギさんだ、喜んでくれるといいなぁ」
「ほら、そろそろ学校に行かないと遅刻するわよ」
「わかってるって、今出るから」
「凛音君は、元気なの?あれからどうなの?」
「ん-、わかんない、でも。いつもぼーっとしてるよ」
「はやく元気になるといいわね」
同じ地区住んでおり、2人の親はママ友だ。
凛音の事を幼い頃から知っている花織のお母さんも凛音を気にかけていた。
自宅から通学路に出ると、一人で歩く凛音を見つける花織
小走りしながら、駆け寄ると、笑顔で挨拶をする。
「おはよう!いい天気だね」
「・・・おはよう」
「また寝不足なの?最近、あまり誰かと一緒に登校してる姿見せないけど、、、」
「ちょっとね。待ち合わせ時間に間に合わなくて、起きるのギリギリなんだ」
「そっか。ねぇねぇ今日も一緒に昼食しよ?」
「え、まぁいいけど」
「じゃあ、また教室でね」
凛音は顔を上げる。
12時2分を指してる時計を見ながら花織を待つことにする。
花織の席は少し離れており、教科書を片付けて凛音の席へと向かう。
―グルルル。
凛音は戸惑いを覚えながら、花織を見る。
「今、お腹なった?」
忘れていた久しぶりの感覚、空腹を感じる。
一体いつぶりだっただろうか。
花織は微笑みながら、今朝作って来たお弁当を目の前に出す。
「卵焼きさ、上手に焼けたんだ。少し食べてみない?」
「もらっていいの?」
「今日は私の分しか、ないから半分こしよ」
「なんか、ごめん。・・・でも食べたいかも」
「今更、遠慮する仲じゃないでしょ」
「じゃあ、まず卵焼きを食べようかな」
「はいはい、どーぞ」
「卵焼きの味がする、、、」
少し目を潤いさせながら、凛音は口の中を空にする。
―美味しい、なんだろ、味がした。ほのかに甘い。
「お、今日もウサギさんだ」
「可愛いでしょ?」
「昨日より、なんか上達してる?」
「なにそれ、昨日が下手みたいな言い方…ひどっ」
「冗談、冗談」
―クスっ
2人は笑い合う。
凛音は花織の笑う顔を見つめると
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