第13話 料理
(推しになんて醜態を晒してしまったんだ・・・)
茜に支えられながら小友のように散々泣きじゃくった俺は我に返り、先ほどの状況を思い返していた。
冷静になり、小っ恥ずかしくなってきている一方で、清々しくなっている自分がいる。
こんな気分になったのはいつぶりだろうか。
これも全部茜のおかげだ。
(借りを返そうと思ってたとこなのに、また救われるなんてな。)
その茜はというと我が家のキッチンで鼻歌を歌いながら料理をしている。
家中に見受けられるコンビニ弁当やファストフードのゴミを見て、俺の健康状態と心配してくれたのだ。
鼻孔を生姜のいい匂いが刺激する。
「できたよー」
運ばれてきたのは白ご飯にキャベツの千切りが添えられた生姜焼き、そして味噌汁だ。
「いただきます」
手を合わせて食事を始める。久々の手料理が泣き疲れた体に染み渡る。
丁寧に細く切られたキャベツとタレがよく絡んだ生姜焼きをほおばる。
次ぎに、だしとみその風味が薫る味噌汁をすする。
身も心も温まる手稲で家庭的な味付けに思わず涙がこぼれそうになる。
「ふぅ~~。おいしかったぁぁ」
あっという間に間食した俺は自然とそう声を漏らしていた。
「お粗末様です」
そう言う茜は嬉しそうな顔をしていた。
「人の作るごはんなんて久しぶりに食べたよ。すっっごくおいしかった!」
「そんなに言ってもらえて作った甲斐があったよ。なんなら今度から作りに来てあげよっか?」
「そんな、悪いよ」
「いいっていいって、あたしも料理するの結構好きだからさ」
若干押し切られる形になりつつも、また来てくれるという約束が結ばれたことに安堵している自分がいた。
気が付くと外の雨は止んでいた。
_______________________________
茜を家まで送った後、ベットに入った俺は、久しぶりに夢を見た。父さんと母さんと鎌倉に行ったあの日の夢。四人で笑いあう、そんな夢。あれ、誰だ?
父さんと母さんとは別にもう一人いる。
(君はいったい・・・?)
手を伸ばし、掴みそうになったその時、視界に映ったのは見慣れた天井だった。
時計を見ると時刻は十二時過ぎ。
まずい、完全に遅刻だ。
あわててじゅんびをを晒してしまったんだ・・・)
茜に支えられながら小友のように散々泣きじゃくった俺は我に返り、先ほどの状況を思い返していた。
冷静になり、小っ恥ずかしくなってきている一方で、清々しくなっている自分がいる。
こんな気分になったのはいつぶりだろうか。
これも全部茜のおかげだ。
(借りを返そうと思ってたとこなのに、また救われるなんてな。)
その茜はというと我が家のキッチンで鼻歌を歌いながら料理をしている。
家中に見受けられるコンビニ弁当やファストフードのゴミを見て、俺の健康状態と心配してくれたのだ。
鼻孔を生姜のいい匂いが刺激する。
「できたよー」
運ばれてきたのは白ご飯にキャベツの千切りが添えられた生姜焼き、そして味噌汁だ。
「いただきます」
手を合わせて食事を始める。久々の手料理が泣き疲れた体に染み渡る。
丁寧に細く切られたキャベツとタレがよく絡んだ生姜焼きをほおばる。
次ぎに、だしとみその風味が薫る味噌汁をすする。
身も心も温まる手稲で家庭的な味付けに思わず涙がこぼれそうになる。
「ふぅ~~。おいしかったぁぁ」
あっという間に間食した俺は自然とそう声を漏らしていた。
「お粗末様です」
そう言う茜は嬉しそうな顔をしていた。
「人の作るごはんなんて久しぶりに食べたよ。すっっごくおいしかった!」
「そんなに言ってもらえて作った甲斐があったよ。なんなら今度から作りに来てあげよっか?」
「そんな、悪いよ」
「いいっていいって、あたしも料理するの結構好きだからさ」
若干押し切られる形になりつつも、また来てくれるという約束が結ばれたことに安堵している自分がいた。
気が付くと外の雨は止んでいた。
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茜を家まで送った後、ベットに入った俺は、久しぶりに夢を見た。父さんと母さんと鎌倉に行ったあの日の夢。四人で笑いあう、そんな夢。あれ、誰だ?
父さんと母さんとは別にもう一人いる。
(君はいったい・・・?)
手を伸ばし、掴みそうになったその時、視界に映ったのは見慣れた天井だった。
時計を見ると時刻は十二時過ぎ。
まずい、完全に遅刻だ。
慌てて準備をし学校に向かうともう既に四限目の終わりを告げるチャイムが鳴り響いたところだった。
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