第十章 約束の地、岩手へ
第四十八話 龍泉洞の先に広がる希望?
「なんて気持ちのいいところなんだ〜!空気が美味しくて、自然の音がいっぱ〜〜い!安らぐ〜〜!」
その場所は駐車場に車を停めて、外に出た瞬間から清涼感に溢れている空間だった。僕は体全体で自然を感じたくなり目一杯体を伸ばす。
体を撫でていく風は柔らかく温かさを含んでいて、まるで母親に抱きしめられているような安心感を感じることができる。
「お前はマザコンか?」
え?
小鳥のさえずり、湧き水が溢れ出す音が響き渡り、体に癒しの波長となって伝わり、心に心地良い揺らぎとなって伝わってくる。
「そんなの日によるだろ!雨の日は小鳥の声も、水の音も増水して轟音になっているわッ!」
「だぁ〜!白フワちゃん、僕がいい感じで悦に浸ってんのに冷めるようなこと言ってこないで〜」
僕は今、二度と悪さをしないと誓った鬼が『岩』に『手』形を押したことが名前の由来になっていると言われている岩手県に来ている。
「鬼さんに会えるかな〜?」
「会えるわけないだろ!」
え?
そして岩手県で絶対行くべき観光スポット『龍泉洞』に来ていた。山の麓から龍が飛び出し、そこから水が湧き出るようになったと伝えられている龍泉洞。
「龍さんに会えたりするのかな〜?」
「会えるわけないだろ!ボケ!」
ボケ〜!?
「え〜!なんかそういうの見に来たんじゃないの〜?」
「ここは大自然エネルギーで溢れているからな、ここを探索するだけで私は大成長するんだ」
ほんとかよ!
いろいろ連れて回ったのに結局、1.5cmしか成長してないじゃん!
何が大成長だよ!
どうせ今回も0.1cm成長できたとか言うんでしょ。龍泉洞の中はけっこう急な階段があるっていうし、行きたくないんですけど……。
バチンっ!
「痛っ!」
「なんだその顔はーっ!一遍、感電死させて、電気ショックで生き返らしてやろうかーっ!!」
ひぇ〜!
またぷんぷんして恐ろしいこと言い始めたんですけど〜!
龍泉洞、日本三大鍾乳洞の一つで、ドラゴンブルーと呼ばれる青く澄んだ美しい色の世界有数の透明度を誇る地底湖が見られるのだとか。
地底湖か〜、いいな〜!地底獣とかいるのかな〜!
「だから、いねーよ!」
!?
老体にムチ打ってテンション上げて頑張って突入しようと思っているのに、今日も白フワちゃん容赦なーし!
分かりましたよ……行けばいいんでしょ、行けば……。
!?
「ひゃ〜〜寒〜〜いッ!何ここ〜!?」
洞内に入った瞬間、冷蔵庫を開けた時のような冷気が僕の体に纏わりついてきた。思わず身を縮め両肩を抱くようにして摩る。
年間を通して洞内は10度前後とのこと。寒いわけだ〜。
「冷え性になっちゃう〜、白フワちゃんモフモフさせて〜」
「触るな!お前なんか、私の電気ショックであったまっとけ!」
え〜!
電気ショックだけじゃ、暖まらないと思うんですけどー!
と、言いつつ白フワちゃん顔にぽんぽんしてきてくれる。可愛いです♪
洞内に突入すると岩に覆われた空間となり圧迫感を感じたのだが、ゲームでダンジョン内に突入した感覚にもなり高揚感が湧き上がってくる。
!?
「わぁ〜〜!」
これからどんな冒険や出会いが待っているのだろうと想像していた時、一つの黒い物体が自分のすぐ上を通り抜けて行ったので思わず声をあげてしまった。
「ひゃ〜!コウモリかよ〜!?ビックリした〜!いきなりコウモリとせっきん遭遇事件で〜〜すッ!」
「えー!コウモリせきと遭遇ですか〜!確かにコウモリみたいな形の岩ですね?」
え?
レンちゃんは僕の言葉を受け、岩の壁をマジマジと見ているようだった。
いやいや、コウモリっぽく見える岩じゃなくて、本物のコウモリとの遭遇事件です……。
「いい大人がコウモリくらいでビビるな!ここはコウモリと共に国の天然記念物になってますって書いてあっただろ!コウモリくらい、いるわっ!」
え?そうなの?
てか何?人間様を差し置いてコウモリの分際で天然記念物だ〜!?生意気なヤローだな!
!?
「ひゃ〜!」
「今度は何だよ!」
「頭に何か衝撃を感じたんですけど〜!」
僕の言葉を受けコウモリが襲いかかってきたのだろうか?何かに触れられたような感覚がしたので慌てて振り払おうとする。
「隼人様、落ち着いてください!水滴です!」
え?水滴?
水滴かよ!コウモリが攻撃してきたのかと思った!
「うーん、未知なるダンジョン、恐るべし!」
「お前の反応が恐るべしだよ!小学生かよ!」
あはは、ごめんなさい……。
気を取り直し探索を続けていると、看板を発見!
あれは一体何を意味する看板なのだろうか?きっと先人が残した攻略するためのヒントとかに違いない。僕は周りに警戒しつつゆっくり近づいていくのだった。
何ーっ!?
そこには驚くべき事実が記されていた!
鍾乳石は1cm成長するのに50年もかかるだとーっ!
「白フワちゃんより成長が遅いものがあるなんて!大自然の神秘!」
「お前、さっきから何なんだよ!そこの地底湖に落としたろか?」
ひぇ〜!本気でやりそうな目をしてる〜!
「おー!光が見えてきた〜!脱出成功だー!ふぅ〜、今回のダンジョン攻略は骨が折れたな〜!」
絶望からの脱出、その先には光が広がっていた。そして、脱出した先には更なる希望が広がっていたのだ!
「何〜!ひとくち飲んだら寿命が3年伸びるだと〜!」
こ、これは……ダンジョン攻略者のみぞ知る希望なのだろうか?
「コラーっ!お前はさっきからなにを言ってんだー!普通に飲める湧き水コーナーだろうがー!」
え?
でも、ひとくちで3年か〜。なら10口飲んだら30年伸びるってことじゃん!これは飲んで帰らないと!
「伸びねーよ!お前は健康運ダダ下がりだろ!飲んでも来年あたり死亡だーッ!」
え〜〜っ!
白フワちゃんに言われると現実味が100倍増しになるんですけど……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます