第十六話 旅先で食べるグルメは全て別腹
※グルメ回になってます。飯テロにご注意下さい。
「くっしろ〜え〜き〜♪」
釧路駅に到着した僕は駅舎をパシャリ、パシャリ。テンション高めで写真を撮りまくる。訪れた場所の駅を写真に収めるのは旅の醍醐味の一つだろう。
「さあ並んで並んで〜」
「並んだって私達は写真には写らないわよ!」
うーん、そうなんだよねー、二人と旅行した記録が残せないなんて…なんか…寂しいな……。
駅舎は古い赤煉瓦造り風の建物でレトロ感のある味わい深さが感じられ、駅前には綺麗な花壇も整備されていて完全な映えスポットなのだが、おっさん一人が自撮りしている写真なんて全然絵にならない。
二人が写ってくれるといいのだが……。
まあ世の中には心霊写真なんてのもあるんだ、撮り続けていたらもしかしたらいつか写る日が来るかもしれない。諦めず撮り続けよう。
ということで駅周辺を探検開始。
車で自由に行き来できる時代になっているので、駅周辺の人通りはまばらだった。ちょっと寂しい気もするが、白フワちゃん、レンちゃんと何の話をしていても冷たい視線を感じることはないので、快適、快適。
そのままあてもなくフラフラしていると賑やかな団体に遭遇。
??
観光客かな?
えーっ!なんだとーっ!
観光客の集団が歩いてきている先を見ると。『ノロッコ号』なる観光列車が止まっているではないか。
なんでも、釧路駅から釧路湿原の脇を走り
こ、これは…もしかして…これに乗れば釧路湿原歩かなくて良いのでは……。
その情報を聞いた僕は白フワちゃんの方へ目を向ける。
当然反応は冷たいもので、白けた表情になっていた。
「列車の中から釧路湿原を眺めて見つかるといいね」
あらら〜、冷めたお言葉だこと、白フワちゃん、言葉と表情が怖くなってますよ〜。
これはダメなやつだ。あれに乗って「煌びやかな尾を持つタンチョウヅルを探そう」なんて言おうものなら、『バチンっ!』とされるのは必至だろう。
ということで明日は一日中歩き回る覚悟を決め、今日はエネルギーをチャージすることに。
釧路はラーメン屋さんより蕎麦屋さんが多いとのことで、ご丁寧に案内マップなるものが用意されているとのこと。
QRコードを読み込み蕎麦屋さんの情報が載っているページにアクセスすると、20軒以上登録されていた。
人通り少ないんだけど、結構あるんだな〜。
選択肢が多すぎて困っていたら、嬉しい情報が目についた。どうやらその多くのお店で緑色の蕎麦が食べられるとのこと。
となるとどのお店に行っても、一応緑色のお蕎麦は食べれるのか。
ただ蕎麦屋さんぞれぞれで独自の色と味を持っているのだとか。全部回って食べ比べしてみたいものなのだが、流石にそれは難しいだろう。
ということで一番の人気店にレッツゴー。それが一番無難だからね。
緑色のそばというものが如何なものなのか、自分の舌で確かめてやる。
◇ ◆
到着したお店は武家屋敷のような門構えで、門を潜って中に入ると日本庭園が広がり、安らぎが感じられる和風の空間となっていた。
なんか、高級蕎麦屋さんって感じじゃない!?
きっと美味しい蕎麦が食べられることだろうと期待が高まる。
白フワちゃんは冷めた感じで無関心を決め込んでいるようで、フワフワとしているだけだったが、レンちゃんはわくわくが止まらないようで、花弁がいつも以上にキラキラ輝いているようだった。
ずっと海岸に佇んでいたのだから、きっと見るもの全てが新鮮なのだろう。
店内に入り座席に案内されメニューを見てビックリ。
なんとメニューの写真には緑色の蕎麦が大きく表示されていたのだ。
こんな色してんのー?
こんな色の蕎麦見たことないんですけどっ!
そして運ばれてきた、ざる蕎麦を見てまた一段とビックリ!
見慣れた灰色がかっている蕎麦の面影はなく、黄緑色の蕎麦が目の前にあった。枝豆のような色をした、黄緑色の蕎麦だった。
うっわ〜っ!何これ〜!不思議な色〜!
この黄緑色の正体はクロレラを混ぜ込んであるとのこと。
今でこそクロレラは健康に良いと言われ注目されていて、デトックス効果や抗酸化作用、免疫力のアップなどに良いと言われている。が、昔の人がそれに気づいていたとは考えられない。
白い
ということは味に変化はないのだから、これを発案した蕎麦職人さんは見た目のインパクトにこだわって、手間ひまかけてわざわざ黄緑色を出しているということになるのだろう。
蕎麦職人さんに頭が下がる思いです。
では、早速いただきます。
食べてこそ感謝を伝えることになりますからね。
香りは至って普通の蕎麦の匂いがするものの、ほのかでそれほど強くはなく、蕎麦の香りを楽しみたい人にはちょっと物足りない感じだろう。
喉越しはしっかりしていて、舌触りは滑らかで甘味が感じられた。
「美味しい!」
「美味しいのか?美味しいのか?それは良かったな!」
僕の言葉にレイちゃんは興奮を隠せない様子だった。きっと食べられるものなら、食べてみたいなーっと思っているのだろう。
可哀想だけど、こればっかりは僕にはどうすることも出来ない。
せめて代わりに存分に味わってやろうと思って、美味しい、美味しいと食べ続けているとあっという間に完食。
「ご馳走様ー!」
こんな量じゃ、腹の足しにもならないよ。
これはちょっと少ないかも?
よし、このままの勢いで次のお店にGOだー!
◇ ◆
次に向かったのは、牡蠣そばを出してくれるお店だ。
釧路から車で約1時間の場所にある
厚岸湾はプランクトンが豊富で海水温が通年通して低く、水温の変化も少ないので、旨みが凝縮されたプリプリで食べ応えの牡蠣に育つのだとか。
それがふんだんに入った牡蠣そばは絶対に食べないといけないだろう。
お店に到着するとメニューも見ずに温蕎麦を注文。
さてさて、どんな蕎麦が来るのだろうかと、白フワちゃんをツンツンしたり、レンちゃんをツンツンしながら待っていると、蕎麦到着。
運ばれてきた牡蠣そばを見てビックリしてしまった!
牡蠣が刻みネギの数より多いんじゃないかってくらい入っていたのだ。
ひゃ〜、ボリューム満点!
さすが北海道!全ての面で規格外!
まずはお汁を一口。
ほんのりと磯の香りが広がり、後から牡蠣のエキスの深みのある味わいが広がりとっても美味しかった。
「うん、これは体に沁みる〜!」
「またかよ!沁みるしか感想ないのかよ!」
白フワちゃんからまたキツめのツッコミが飛んできたが、気にしない、気にしない。
蕎麦はコシのある食感。牡蠣はプリプリ、ホクホクで噛むたびに旨味が広がるので、いつまでも噛んでいたいのにすぐに無くなってしまう印象だった。
「これは贅沢な一品だ〜」
美味しくて今回もあっという間に完食。
え?もう終わり?もう3軒回ったよね?
全然足らないんですけど……。
まだまだいけそうな気がする。
よーしこのまま次のお店も制覇だー!
「どんだけ食べる気なんだ、お前は〜!お前の胃は底無しかー!」
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