第9話 side:九鳳雪凪 その後

前書き

今日は2話更新しました。







 到着した封月ほうげつの処理班と共に後片付けをしていた。


 目が覚めると、霧咲の姿はなく、室内には激しい戦闘の形跡だけが残されていた。


 自分ではない。他の誰かが霧咲と交戦したのだろう。


(いったい、誰が……)


 普通に考えれば、封月ほうげつの上位陣が戦ったと考えるのが自然だ。


 しかし、今は多数の離反者を出して人手不足の真っ最中なのだ。


 そんな状況で、こちらに援軍を出せるのだろうか。


 第一、封月ほうげつが手を出したというのなら、こちらに何かしらの報告があってもいいはずだ。それなのに、一向に報告がないというのはおかしい。


 封月ほうげつでないとすると、告朔こくさくの中で霧咲を巡って内輪もめが起きたのか、あるいは、まだ知らない未知の強者が霧咲を倒したのか。


(未知の……)


 雪凪の脳裏に、13本目の妖刀の存在がよぎる。


 結局、未だに13本目の妖刀の所在を見つけ出せずにいる。


(13本目の妖刀使い……)


 敵か、味方か。どのような能力を持っているのか。すべてが謎に包まれた存在だ。


(まさか、ヤツの仕業なのか……?)


 13本目の妖刀使いが戦ったというのなら、この不可解な状況にも納得がいく。


 しかし、そうなると、何のために戦ったというのか。なぜ13本目の妖刀使いは告朔こくさくと敵対するようなマネをしたのか。


 まさか、こちらに味方をしようというのか。


 そこまで考え、雪凪は頭を振った。


(いや、考えすぎか……)


 どちらにせよ、いま自分のすべきことは明らかだ。


 13本目の妖刀使いを探す。それが、いまの自分に課せられた役目なのだ。


(13本目の妖刀使い……。いったいどこにいるというんだ……)


 まだ見ぬ強者に思いを馳せながら、雪凪は処理班を手伝うのだった。

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