第2話
このレースに関して言えば、実際に勝負に絡んでくるのは、おそらく四五頭だ。
特に持ち時計の上位三頭が横一線のようだが、七番の「イフユーウォント」が目を引く。
枠は問題ないし、何よりも調教タイムがとびきりにいい。
三番に逃げ馬の「フスマテイオウ」がいる。この馬は俗に言うGⅠ馬で、スタートからレースを引っ張ることになるだろう。
中山のコースは最後の直線が短く差し馬に不利な面もあり、この「フスマテイオウ」の逃げ残り一着の可能性はあるが、それを覆して「イフユーウォント」は外から豪快に差し切って一着で入線する……。まぶたの裏でそんな映像が浮かぶ。
ひらめき、てやつだ。
これだ。間違いない。これしかない。
予想家の印がまばらに付いていて確かに微妙な要素もあるのだが、自分の中では「イフユーウォント」が、ぶっちぎりだ。
僕は、赤のサインペンで七番の頭にグルグルと円を描いた。
そしてカチ、とペンのキャップを閉めると、ガバ、とベッドに潜った。
極端に眠かったわけじゃないけど、自分の勝ち馬予想に満足すると、何やらそこからが面倒になってしまって、結局オカダには電話を入れなかった。
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