イフユーウォント

悠真

第1章……第1話

 


 十月のとある金曜の午後。

オカダという学生時分からのツレが、この週末に競馬をやらないか、と連絡を寄こしてきた。

 僕が、春先から週末が休めない仕事に就いたことを話すとオカダは、ウィンズ(場外馬券発売所)へ行ったついでに馬券を買ってきてやるからメインレースだけでも検討しとけよ、と言って手短に電話を切った。


 僕は仕事上がりにコンビニへ立ち寄って、久しぶりにスポーツ新聞を買って帰った。

今の仕事を始める前もオカダの付き合いでたまに東京ドームそばのウィンズに行っていたぐらいで、競馬について大して詳しくはない。

 翌日行われる中山競馬場の出馬表のページを開く。

 中山のメインレースは芝の1600メートル、16頭立て。

 以前もそんなにまめにレースをチェックしていたわけではないから、馬の名前を見ても、まるでピンと来ない。


 真っ先に、芝の荒れたコースを走らされる最内枠の一番とコースロスの大きい大外枠は不利と見て消したあと、ざっと各馬の前走結果や持ち時計等に目を通す。

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