第7話19歳夏

━━話はさかのぼる事19歳の頃━━


季節は真夏の七月。


物語は、ここから始まる。


「今日もあっちーな、糞ったれ」


俺の名前は裕輔。


当時19歳だった俺は、仕事のために実家を出て、地元から遠く離れた見知らぬ土地のパチンコ屋に、住み込みで働いていた。


別に、パチンコが好きだったわけじゃない。


この店で働いていた友達に紹介されて、しばらく仕事もしてなかったし、「まぁパチ屋で働くのもアリか」くらいの軽い気持ちで就職しただけだ。


仕事は、早番なら朝の八時半。遅番の時は夕方四時半からの出勤。


今日は早番の日。


俺はまだ眠い目をこすりながら、制服に着替え、店の開店準備をしていた。


「今日も一日、頑張ろうぜ!」


突然後ろから声をかけられて振り返ると、そこには俺をこの店に誘った友人のリョウが立っていた。


「おいおい、朝っぱらから馬鹿いってんじゃねぇよ…

なにが悲しくて、たいして給料も出ねぇこんな店で、真面目に働こうって気になれるんだよ。

大体、この店なんていつ潰れてもおかしくねぇし、仕事頑張れるほどの客なんて、そもそも来たことねぇだろ?」


「まぁ確かにな!

頑張って働いたところで、客が増えるわけじゃないけどさ…

でもまぁ、せめて仕事くらいは“それなり”に頑張ろうぜ?」


「“それなり”に頑張ろうって意味わかんねぇよ。

お前一人で勝手に頑張ってろ。俺まで巻き込むな」


「はいはい、分かった分かった。

頑張らなくていいからさ、でも開店準備くらいはちゃんとやんねーと。

さっさと終わらせて、タバコでも吸おうぜ?」


「はいはい、分かりましたよっと…」


リョウに急かされて、面倒臭さを感じつつも仕方なく準備を始めた。


リョウは筋金入りのパチンコ好きだ。


その勢いでこのパチンコ屋に就職したくらいだから、それなりに楽しく働けてるんだと思う。


でも俺は違った。


リョウに誘われて、ただのノリでここに来た俺には、最初からやる気なんてこれっぽっちもなかった。


そもそも、生まれてこのかたパチンコやスロットに興味すら湧いたことがなかったし、仕事してても面白さなんて感じるはずもなかった。

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