一匹狼VS生徒会副会長



園芸部が管理している温室兼サンルームで仮眠を取っていたらカラカラとガラス戸が開く音がした。

薄目を開けて様子を伺うと、鳥の巣のようなモジャモジャ頭をした不審者が入って来るのが見えた。

「・・・」

オレの方に近づいて来る気配がしたので視線を外して目を開けた。

「やっべー、寝過ごした!」

不審者には気付かなかったフリで飛び起きて、ダッシュしてサンルームを出た。


とりあえず、風紀委員会室へ向かって廊下を走る。

神月こうづきはやて!」

進行方向にいた生徒会の副会長が物凄い形相でオレの名を呼んだ。

「廊下を走ってはなりません!」

副会長の手がオレの肩を掴もうとしたのでサッと避けて言った。

「不審者から逃げて来た。」

「はあ?」

「だから、モジャモジャ頭でグルグル眼鏡の不審者!」

何度もオレに触れようとする副会長の手を避けていたら壁際の角に追い詰められた。

「オレに構わず、不審者を捕まえに行けよ!」

「モジャモジャ頭でグルグル眼鏡は転校生ですので不審者ではありません。」

「え~」

「理事長の甥御さんだそうですよ。」

「へ~」

「そんな事より、神月君、廊下を走った罰です。明日の放課後、生徒会室に来るように。」

「ええ~、

ちょ、副会長、顔近い!」

「美味しそうな匂いを撒き散らしている君のせいですよ。」

「オレ、アルファじゃないよ?」

「ええ、解ってますよ。神月君は私と同じオメガだって・・・」

「オレには番が・・・」

「一生童貞のまま、狗遠寺くおんじ一人で満足できますか?」

副会長の言葉にオレはショックを受けた。

「・・・一生、童貞・・・」


 一生童貞


 一生童貞


 副会長の言葉にオレは崩れ落ちた。


 あれ?


 待って・・・


 オレのって、いつも京夜にフェラされてるよな?


中に入れて精子出せば童貞卒業、だよな?


「あの・・・質問があるんだけど?」

「何でしょうか?」

「フェラも童貞卒業に含まれるのか?」

「フェっ! ええっと!?」

 副会長が真っ赤になって、鯉みたいに口をパクパクさせている。

「副会長は童貞卒業したの? いつ卒業したの? 相手は男? 女? どっち?」

矢継ぎ早に質問を被せると、赤くなったり青くなったりして副会長の脇にスキが生まれた。


そのスキを抜けてオレは風紀委員会室に向かって再度走った。

「ちょっ、待って!」


副会長を振り切り、オレは一番安全な風紀委員会室の中へと無事に辿り着いた。



*****


風紀委員会室には剣道着を着た生徒会書記の黒峯くろみね健太──ケンにいが一人がけのソファーの上で静座していた。


「ケン兄!」


オレはケン兄に抱き付いた。

ケン兄はオレの母方の伯父の子供で、一緒に育った兄弟同然の従兄弟だ。

「サンルームにモジャモジャ頭の不審者が入ってきて逃げたら副会長に絡まれた!」

「災難だったな。」

「ところで、ケン兄に聞きたいことがあるんだけど・・・」

「何だ?」

「フェラして貰ったら、童貞卒業になるかな?」

「──は?」

「ケン兄はもう童貞卒業した?」

ケン兄は溜息をつくと、オレの頭をポンポンしてくれた。

「誰かに何か言われたのか?」

「副会長に、オレが一生童貞だって、でもさ、中に入れて出せば卒業だよな?」

「あ、あ~、そう、だな・・・」

ケン兄は口元を片手覆ってオレから顔を背けた。

ケン兄の肩が震えている?

「あとさ、副会長に廊下走った罰で明日の放課後、生徒会室に来いって」

「・・・俺が迎えに行くから、一人で行くなよ?」

「了解!」



─────────────


あとがき&補足


勢いだけで書き始め、生徒会とか他の主要?キャラたちの名前を全く考えていなかったので、役職名で暫く進みます。


主人公は他人の名前を覚えるのが苦手というか面倒な性分なので、見た目とか役職名で呼ぶ人は顔見知り程度の認識です。

苗字か名前で呼ぶ人は友人枠とか身内です。

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