第5話・
それからしばらく経って真紀が小学校に上がった入学式の夜、真紀が寝静まったと思っていた母親が自分の車に乗り、逃げるように車を走らせた。
由紀子の捜索をしたが何処に行ったか分からずじまいだった。
真紀が、”私が消したよ”と呟き、ニヤリと意味ありげな顔つきに成っていた。
父親の恵人が働いている会社の連絡先だと、言われて渡されていた紙に書かれていた番号に電話を何度かけても一向に繋がらず、そんな忍に真紀は"ヤツは、もう居ない"と息を吐くように、どこか寂しそうにそう呟いていた。
(真紀は産まれてこれまで一回も両親に抱きしめられた事が無いのよね?)と、忍はふと思ってしまい真紀に目を落とした時、真紀の目に薄っすら涙のような光るモノが見えた。
今あった出来事を真紀の頭の中には”記録”として打ち込まれていった。
そんな事も知る良しも無い忍は、新一郎と真紀と三人で話し合いをした。
「このまま真紀が一人っきりでいると自然と児童養護施設に入らないといけなくなる、でも、私達が家族になれば連れて行かなくて良くなるかもしれない、真紀ちゃんはどうしたい?施設に行く?どっちがいい?」と真紀に聞き、”真紀は、忍さんと新一郎さんと一緒に居たい”と勢いもって二人に伝えた。
真紀は、忍さんに対して自分と同じ匂いがする事を知っていた
忍も、真紀と同様同じ思いであった
ひと月が経ち、真紀も10歳と成りおちゃま娘に成っていた。
真紀が育った家は、色んな事を思い出すだろうからという事で、忍の家で3人の生活が出来るようにと役所に申告した。
3人の生活も落ち着いてきた頃に、家の近所にある公園へ遊びに行った際、その公園で考志(10歳)と出会っていまう。
真紀は、考志を見て胸がぎゅと苦しくなるのを感じた。
でも、真紀は愛された経験が無かった為、この胸がぎゅっとするのが何なのか、理解するのに時間が掛かった。
そのぎゅっが、真紀にとって居心地の良いとても暖かくて、ずっとその感情の中に居たいと思ってしまい、どうしたら一緒に居られるようになるのか?どうしたらそう成れるか?を考え続けていた。
真紀にとって誰が、味方なのか?敵なのか?真紀の中で仕分けるようになっていった。
そんな事を思っていた時に、ふと頭の中に過ぎった事がある。
【忍さんって何でこんなにも真紀の事を思って一緒に居てくれるの?
真紀と同じ匂いがするから?その思いと色んな感情を重ね合わせて、忍さんを透視してみたが、忍さんの心の一か所に小さく丸くて白いフワフワしたモノがあるが、何でそこだけが白くなっているのか?どんな意味があるのか?】分からないまま時が過ぎて、段々、忍さんに対しての想いが真紀の中で変わって行き、以前に思った感情は消去されていた。
色んな意味で女性に成長していた真紀の存在が煙たくなっていた人が居た。
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