第4話・私には神様などいない
ある村の住人が意を決しってお巡りさんに連絡をした「月に1,2回に分けて、同じ場所に変な車が停まってるんだけど、ちょっと怖いけぇ~ちょっと見に来てや」と電話し、循環で来ているお巡りさんとその時に交番にたまたま来ていた、新一郎も忍の事で何か分かったか聞きに来ていた事もあり、一緒に謎の車が停まっている場所までついて行くことにした。
『一応ココからは、私が見に行って来ますから、村の人達はついて来なくて良いですからね』とお巡りさんが言った言葉に、新一郎は「私も、一緒に同行させて下さい。お願いします。」と頭を下げた。その必死さに負けてお巡りさんと新一郎の二人で、森の奥へと進んで行った。
四方八方を見ながら歩いて行くと、ボロ屋敷が目に入った。
もう空き家になっている様にも見えたが、何か居るような微かに感じる空気の動きに、お巡りさんと新一郎は顔を見合わせ
『誰か居ますか〜?…』とお巡りさんが言ったのを聞きながら、近づいて行っていた時に新一郎が、壁の一部に小さな穴ある事に気付いた。
その穴に自分の目を近づかせ一点集中して覗き込んだ。
新一郎は、一瞬で分かり”あっ”と声にも成らなかったが、新一郎はお巡りさんに「忍が居ます、この中に忍が…」と『え?』とお巡りさんは驚いた目で新一郎を見た。「でも、何かおかしい…彼女、一人のはずな気がするのに…何で?、何で…?今いる場所から動こうとしないのか?…?それとも、”動けない”」と新一郎の”動けない”の言葉とお巡りさんの声とが重なった。
本当に忍しか居ないか調べてから、ゆっくりと戸を開けた。
室内には、何も無くと言うか所何処、壊れかけている部分もある中、床に横たわっている忍をのぞき込んでみた。
「眠っているのか?」その女性は、確かに、忍だった。
がんじがらめにされていた中、何故か、両足首から下が床の下にハメられている状態だった。
何で、床の下?と不思議に感じながら新一郎は、床を剝いだ瞬間!目に"グッ"と力を入れ目を閉じ、自分の口を自分の左腕に押し付けた状態で"う〜"と号泣した。
お巡りさんは、瞬時に警察に連絡をして、場所が何処なのかなど詳しく話をしながら、直ぐに応援に来てもらえるようにお願いをしていた。
声を殺して泣いている新一郎の声が、かすかに聞こえたのだろう忍が目を覚ました、「あれ?何で?新一郎がココに居るの?」と言いながら忍は言葉を続けた「何で?泣いてるの?…新一郎?」その忍の言葉に新一郎が『当たり前だろ、ずーっとずーっと忍を探していたんだよ…奴らが忍をどうかしたんだとは思っていたから、アイツが罪を終えた日、奴に聞く為に家に行ったが、誰も居ないと言うか家の中身ごと空っぽだった…マジで腹立たしいよ!』と泣きながら話していた。話している最中忍が、何かに怯えるように「逃げて、早く逃げて!!」と慌てて新一郎に伝えた。その言葉に驚いた『何言ってんだよ!…もう大丈夫なんだよ…落ち着いて…忍?落ち着いて良く聞いて…もう、忍は助かったんだよ、今、もう警察の方が動いてくれているから、これからは、俺が忍を守って行くから常に一緒居るから、安心して良いんだよ…』と伝えたが、忍は続けて「ココに居たら、今度は新一郎が危ない!アイツは人間じゃない」と涙をボロボロ落としながら床に崩れ落ちた。そんな忍を見ながら優しく『大丈夫。もう、忍を一人きりにさせないから、もう大丈夫。ヤツに関してもこの事で調べ始めてる。だから⋯もう時間の問題だよ。』と新一郎は微笑んだ。そんな対話をしている最中に、警官達が忍の足元の床を全て剥いでくれていた。出てきた光景に、そこらに居た人達のほとんどの手が止まってしまった。警官達も皆、涙をこらえながらコンクリートに機械を入れた。
新一郎は何も言わず忍を優しく抱きしめた。
‥‥
忍も無事に退院して、新一郎が住んでいる向かい側に引っ越してきて生活し始めいた。
二人とも、子供好きで困った人が居たら何でもしてあげたくなる性格でココら辺では有名だった、近所に可愛らしい女の子がいつも一人で遊んで居たのが気に成っていたのもあって、忍が声かけたのが野田家の一人娘の真紀だった、それから仲良くなり真紀も生まれて初めて他人を素直に受け入れられたのも忍と新一郎がだった、そんな我が子を見て由紀子も不思議に思ったが、真紀自身が受け入れるならこの二人に任しても大丈夫と思っていた。
知らない人から見たら本当の家族では?と思われるくらいでもあった。
毎日、毎日、ケアをしていく中、由紀子にも笑顔を取り戻しつつあり安心していた頃、真紀ちゃんの奇妙な言葉に忍と新一郎は息を呑んだ。
「真紀ね知ってるの、あの人も真紀の事いらないって、真紀の事置いていなくなるよ」その言葉を聞いた忍は(自分の母親の心を透視したの?)と一瞬、思った時 真紀がギョロっと忍を睨み付ける様な感じがして、忍は背筋がゾワッしたと同時にさっき思っていた気持ちを一気に書き消したが…砂遊びをしていた真紀は下を向いたまま”ニヤリ”として、頭の中に”このヒトも要らない人?”とインプットされてしまっていた。
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