第20話

 ラムザは前回の事件から王の信頼を得て様々なゲームクエストをこなしている。


 ラムザの強さは他のパーティーメンバーの頭2つ分くらい抜けている。

 ミノタウロスを日に何度も倒し、ネズミの魔獣を1人でほとんど倒した。

 レベルはかなり高いだろう。


 エリスは少しだけ目が穏やかになり学園生への態度が柔らかくなった。

 そして俺を今まで以上に可愛がるようになった。


「クエス、クッキーよ」


 俺はもきゅもきゅとクッキーを食べる。


「まあ、エリスだけズルいですわ。わたくしもあげますわ」


 ノワールも負けじと俺を可愛がる。

 学園の女性生徒が集まってくる。


「私もお菓子をあげたいです」

「ナデナデしたいです」

「抱っこしたいです」


「きゅきゅう(うむ、よきに計らえ)」


 プリムラをちらっと見る。

 ゼロケルビンやん!

 目の冷たさが増してますやん!


 俺はテーブルの中央に佇む。

 女子生徒のみんなが俺をナデナデする。


 1人の女子生徒の胸がティーカップにぶつかった。

 俺は倒れたティーカップの紅茶を被った。


「ああ、ごめんなさい!」

「きゅきゅう(問題ナッシング、胸に罪は無いから)」

「問題無いです……と言っています」


「わあ、クエスちゃん優しい」

「拭き拭きしましょうね」

「お利口さんですー」


 俺の可愛さは爆上がりだ。

 今度はケーキが倒れてもろに直撃を受けた。

 俺は帽子のようにケーキを被る。


「あああ、またごめんなさい!」

「きゅきゅう(気にしないでね。でも構って)」

「気にしないで下さい……と言ってます」


「わあ、クエスちゃん凄く天使」

「拭き拭きしましょうね」

「お鍋にお湯を入れて持ってきますね。きれいに洗いましょう」


「きゅきゅう(うむ、よきに計らえ)」


 俺は女子生徒6人に囲まれながらお湯に入れて貰う。


「きゅきゅう! (あっつい!)」

「え、このお湯熱いわ」

「ご、ごめんね」


「きゅきゅう(大丈夫、ミスは誰にでもあるから)」

「大丈夫です、ミスは誰にでもあります。と言っています」


 これは人気すぎる事による混乱だ。

 ちやほやされたい俺には好都合。

 

 お湯をぬるくして貰い俺は皆に洗って貰う。


「凄い、毛が滑らかで気持ちいい」

「うん、お湯に付けて洗うと凄く感触がいい」

「見て、クエスちゃんが気持ちよさそう」

「ふふふ、可愛いわね」


 最高。

 超最高。


 俺はみんなに洗って貰い熱を帯びた風魔法でドライヤーのように乾かしてもらった。


「はい、キレイキレイ終り」

「もっと洗いたかったなあ」


 俺はエリスの胸元にすっぽりと戻る。


「クエス、久しぶりだね」


 ラムザが歩いてきた。


「きゅきゅう(ラムザ、大活躍だな)」

「ラムザは大活躍ですと言っています」

「そんな事は、あれ? 毛がいつもより凄くふわふわもふもふで」


 ラムザがクエスの胸元に手を伸ばした。


「きゅきゅう! (触んな! エリスの胸にさわんなや!)」


 ラムザに電撃をお見舞いした。


「あがががががががががが!」

「きゅきゅう! (胸に触んな! ぶっ殺すぞ!)」


「え、僕はただもふもふ感を確認したかっただけなのに」

「もう、クエスは私の白いナイトなんだもの。私を守る為に怒るわよね?」

「きゅきゅう(その通りです)」


 俺はコクリと頷いた。

 その様子を見ていたみんなが笑う。


 ラムザも笑う。

 でもプリムラだけは目が笑ってない。



 ◇



「クエス、シャワー気持ちいい?」

「きゅう(気持ちいいです)」


 俺はエリスの太ももに乗って洗って貰う。


「はい、きれいになったわ」

「でも、クエスはたまに股の中に入ってこようとしますわよね」

「ふふふ、暗くて狭い所が好きなのよね? 赤ちゃんみたい」


「お嬢様、クエスは腹黒い心を」

「それはもういいわ、聞き飽きたの」

「……」


「やっぱりクエスの毛はなめらかで石鹸が良く泡立つわね。スポンジ代わりにすると気持ちよさそう」

「お嬢様、クエスで体を洗うのはいけません。はしたないです」

「クエススポンジ、気持ちよさそうですわね」

「ノワールもいけません」


「ふう、お風呂に入りましょう」


 お風呂に入るとノワールとエリスの胸に挟んでもらう。

 4つの大きな胸が俺を包み込む。

 これがお風呂で一番好きだ。


「ふふふ、こうやって包み込まれれるのが好きですわよね?」

「ふふふ、クエスったら、本当に甘えん坊ね」

「……」


 プリシラがエリスをお風呂からさりげなく退避させると俺とノワールが残った。


 ノワールが俺を胸と腕で抱きしめながら言った。


「クエスを泡立ててわたくしの体を洗ってもいいですの?」

「きゅきゅう! (そ、それは! いいです。とても良いです!)」


 俺はコクリコクリと頷いた。


「ふふふふ、プリシラがいない今がチャンスですわ」


 ノワールが石鹸で俺を泡立てる。

 その繊細な指使いがもう気持ちいい。


「やはり泡立ちが滑らかですごくいいですわね。早速洗わせていただきますわ」


 ノワールが俺を優しく持った。

 そしてその手は大きな2つの果実へと向かう。

 ま、まさかいきなりフィニッシュか!

 

 俺の体がノワールの柔らかマシュマロに擦り付けられる。

 凄い。


 これはもう本当に、


 凄い。


 柔らかマシュマロに俺が押し付けられる事で気持ちの良い弾力が俺を包み込むようだ。

 そして右、左、右、左と幸せの緩急、その波が押し寄せてくる。

 俺は至高を体験した。



 ◇



「ノワール、お風呂が長かったわね」

「ええ、わたくしはお風呂が長いですわ」

「それにしてもいつもより長いわね。それにお肌がつやつや」


「それは皆さんもですわ。今日の入浴剤が良かったようですわね」

「クエス、あなたも毛並みが凄くいいわ。毛の色も輝くようなパールホワイトのようね」

「きゅう? (何のことですか?)」


 俺は可愛らしく首を斜めに傾けてごまかす。


「クエス、今日はわたくしと一緒に寝ますわよね?」

「ダメよ、クエスは私と寝るんだから」

「あら残念ですわ」


 ノワールが話を逸らして助けてくれた。


「さあ、一緒に寝ましょう」

「もう少しだけお話をしてから眠りたいですわ」

「分かったわ」


 俺は2人が話をしている間にまぶたが重くなっていく。


 よき、かな……

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