第4話

 エリスが俺を覗き込む。


「ん? きょとんとして口を開けてどうしたの?」

「きゅう(立派だ)」


 俺はエリスの胸を見つめた。


「どうしたの? 怖い夢でも見たの?」


 立派過ぎる。

 大きく、そして垂れていない。


 これ奇跡だろ。

 形と大きさの共存、本来あり得るはずの無い奇跡。

 いや、奇跡あったね、目の前に!


 俺は大いなる果実を崇めるように見つめたまま固まっていた。


「今度は固まっちゃったの? ふふふ、可愛い」


 生エリスだ。

 生エリスが俺をナデナデしながら言った。

 その撫で撫でプレーが気持ちいい。


 俺はぴょんとエリスの胸の上に乗った。

 やっぱり、乗れる!


 そう、俺がもしクエスなら絶対にこうすると決めていた。

 そして俺は確信していた。

 絶対に乗れると、エリスの胸なら乗れる!

 だってエリスの胸だもん!


 エリスの胸元が見える。

 柔らかい。

 俺はその胸元にすりすりした。


「ふ! ふふふふ、もう、甘えん坊ね。クエス、よしよし」


 お、怒らない。

 エリスは表ではルールに厳しい委員長のような性格だ。

 でも可愛い物、特にクエスには激甘だ。

 俺はエリスの胸の谷間に後ろ足から入り込んだ。


「あん、くすぐった、んん!」


 声がエロい。

 俺は胸元に収まり顔だけを出して前を向いた。


「ふふふ、一緒にお勉強するの?」

「きゅう(その通りです)」


 俺はコクリと頷いた。


「いい子ね、よしよし」

「きゅう(いい子です)」


 俺はコクリと頷いた。


 ここはいい。

 めっちゃいいわ。

 マシュマロのような柔らかくて温かい感触。

 2つの胸が適度に俺を包み込んでくれる。

 

 部屋にプリムラが入って来る。


「お嬢様、紅茶をお持ちしました」


 プリムラはエリスにはしっかり敬語だ。


「ありがとう、下がっていいわ」

「……お嬢様、クエスはどこですか?」

「さあ、どこかしらね」

「お嬢様、何か隠していますね?」


「今勉強中よ、集中させて」

「お嬢様、何故いつものようにこちらを向かないのですか?」

「今集中したいの」


「お嬢様、隠してもすぐに分かります。やましい事がありますね?」

「もう、いいでしょ? しつこいわ」


 プリムラがすっとエリスの横に立った。

 プリムラが胸に収まった俺を見つめる。


「お嬢様、はしたないですよ」

「しょうがないじゃない、この子がうなされていたんだもの」

「お嬢様、今のクエスからは何か邪悪な、よこしまな心を感じます。いつものクエスとは何かが違います」


「クエスはいつもいい子でお利口さんよね?」

「きゅう(その通りです)」


 俺はコクリと頷いた。


「ほら頷いた」

「自己申告ほど当てにならないものはありません」

「そんな事は無いわ」


「お嬢様は学園で他の生徒の手本となるように行動し、時には皆に厳しく接してきました。お嬢様の今のお姿を皆が見たらどう思うでしょうか?」

「クエスは怖がっていたのよ。時には愛の力で包み込む、そんな優しさも必要よ。クエスは温かいわ、それに毛もふさふさでクリームのようななめらかさよ」

「きゅう(その通りです)」


 エリスの胸に集中していて今まで気づかなかった。 

 クエスの記憶が一部俺に流れ込んできている。


 日付を聞きに行かなくても良かった?

 いや、聞かなければ今の状況は無かった。

 あれは必要すぎる行動だったのだ。


 今ならクエスの話し方も出来るはずだ。


「きゅきゅう(プリムラ、僕がここにいればエリスを守れるよ。だって僕聖獣だから)」

「クエス、その言い方、ワザとらしい」

「え? クエスは何て言ったの?」


「いえ、ただの遊びのような言葉です」

「あん!」


 プリムラが俺の頭を鷲掴みにして胸の谷間から抜き取った。


「急に取らないで」

「申し訳ありません。少しクエスが汚れているようなので洗ってきます」

「気にしないわ」


「いけません。雑菌が付いていたら困りますから」

「優しく、ちょっと持ちなさい。クエスが可哀そうよ」

「はい、失礼します」


 プリムラは俺を両手で優しく持つ。

 が、部屋のドアを閉めた瞬間に鷲掴みに戻る。


「きゅきゅう(エリスの癒しを奪うのは良くないと思うんだ)」

「黙れ、その心もろとも洗い流す」

「きゅきゅう(僕聖獣だよ? 聖なる存在なわけ)」

「……」


「きゅきゅう(あれ、無視ですか)」

「話をするのも面倒」


 女子寮の共同風呂に入ると俺を風呂に投げ入れた。


「きゅう(おっと)」


 俺は風呂にぷかぷかと浮く。

 プリムラが服を脱いで入ってきた。


「きゅう!(え! 服を脱いで入るのか!)」

「その方が、洗いやすい」


 そっか、俺聖獣だし、恥ずかしいとか無いよね。

 プリムラが俺を片手で掴んで石鹸を泡立てる。


「泡立ちが、凄い」

「きゅきゅう(聖獣ですから)」

「それ、関係ない」


 鏡越しに裸のプリムラをじっと見る。

 かなりスタイルがいい。

 胸は巨乳でゃないが美乳。

 形がいい。

 その姿を鑑賞するのもいい。


「きゅう!(目に泡が!)」

「我慢、する」


 俺は目を瞑った。

 美少女の手で洗って貰える。

 悪くない。

 でもエリスの谷間の方が良いな。


「何か悪い事、考えてる?」

「きゅう? (何が?)」

「悪い顔、してた」

「きゅきゅう(目に泡が入って思いっきり目を閉じたら顔がクシャっとなるでしょ。一回悪いと思うと『ああ、またか』と思い込むその先入観良くない)」


 プリムラが俺の体をシャワーで流し自分の体を洗う。

 おお、洗うのを見るのって、いいな。

 特に背中を洗う時、体をくねらせるポーズが綺麗だ。

 ドキドキする。


 俺、人間じゃない、でも、心、人間。

 あれ?

 都合よくない?


 美少女マッサージ入浴、いい。

 エリスの谷間、いい。

 ここ天国じゃん!


 可愛いマスコットが美少女に近寄りすりすりする。

 何か問題があるだろうか?

 いや、無い!

 むしろウインウインじゃね?

 

 プリムラが体を洗い終わると俺を片手で掴んでお風呂にぽーんと投げ入れつつ自分もお風呂に入った。


「きゅきゅう! (ちょ、波をそんなに立てると! 呼吸が!)」


 俺はどさくさに紛れるようにプリムラの胸に捕まった。

 この感触も、いいな。


「さっきクエスは言った。お嬢様と一緒にいると、悪く見られないと」

「きゅきゅう(言ったね)」

「それは、認める。お嬢様は、勘違いされやすい」

「きゅきゅう(うんうん)」


「でも、さっきの話を聞く限り、学園の誰が実行犯か、分からない。私はお嬢様の近くを、あまり離れられない。味方が、いない」

「きゅきゅう? (ラムザがいる。ラムザなら困っている人を助ける)」

「女子寮で、事件が発生するなら、ラムザは入れない」


「きゅ!(あ、そっか!)」

「いい、案がある」

「きゅきゅう(聞こうか)」

「クエスは『聖獣』『聖なる叡智の魔法使い』『女神の使い』『叡智なる力を宿す者』色んな言い方で言われてる」


「きゅきゅう(ふむふむ)」

「クエスのレベルアップでもっと、何かが分かる、かもしれない」

「きゅきゅう(レベルアップか)」

「今のクエスからは大きな力を感じない、もっと強くなるべき」


 確かに強くなるのは悪くない。

 強くなれば予言のようなスキルを覚える可能性も無くはない。

 ゲームのクエスは驚くほど勘がよくメインストーリー進行のカギとなる行動を何度もしている。


「きゅきゅう (そっか味方がいないんだよね? 俺、皆に頼る事ばかり考えていた。自分で出来る事は自分でやらないとね。うん、そこは悪かった」

「今のクエスがまともに見える」


「きゅきゅう(でもせめて最初のレベルアップだけは手伝って欲しい。今の俺、多分普通に死ぬ気がするんだ)」

「ん、私と、それとラムザにも言う。2人で協力する」


「きゅきゅう(うん、頼む)」


 俺はプリムラの胸を握って握手をした。


「クエス、見直した」

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