現代魔術師の暇潰し

元音ヴェル

スポーツマンシップ(笑)

転生前の魔術師

 魔術師の家系に生まれ、ウェザーと名付けられた。

 辺境貴族の三男。魔術を習っていく過程で、魔術を使って家庭菜園をする。

 魔術には触媒がいるし、魔法にも使う。魔力を帯びた草、水、石を配置して足りない魔力を術式で増幅する。

 妖精や精霊も居たので、捕まえて召喚魔法の契約をしていく。対価は家庭菜園の野菜だ。

 精霊達は魔力の外付けタンクにもなるので、ウェザーの魔力量は飛躍的に上昇した。ここまで魔力が高いと、無詠唱での魔法や簡単な魔術がすぐに使える。

 治療、デバフやバフ、各属性の魔法。エンチャント、各ポーションも作れるように努力して、魔力の制御も分身体を使っての細かい作業でモノにした。



 学園に通うようになると、戦闘があまり得意でない事が浮き彫りとなり、くだらない理由での決闘が頻発しては魔力によるゴリ押しで秒殺してしまう。

 多い日は同じ派閥の男爵が決闘しに来たりもした。ちなみにウェザーは辺境の伯爵家出身なので、勝ち負けに関わらず男爵家の実家はシバく。

 決闘は相手を殺しても罪にはならない。だが、ウェザーはあえて半殺しで降参を促す。降参しない意地を見せる奴は、男も女も下腹部を魔術の抜き手で貫き、雑に治療して子供が作れないようにしておく。女は子宮がダメになるが、男も下腹部を貫かれると、前立腺や精嚢がダメになるので、玉と棒は無事でも種無しとなる。

 そんな尊厳破壊された連中は当然逆恨みするが、契約した精霊達がウェザーを守り抜く。



 そうしてヘイトを集め、実害が出たら、正当防衛を主張しながら相手の実家を燃やす。

 例え王子だろうと、公爵家だろうと、ウェザーは一切の躊躇も容赦も無く、焼き尽くすまで光や炎の照射を止めない。

 まごうことなき狂犬だが、国王は王宮を焼き払った国家反逆罪で国軍を動かす。しかし、ウェザーは辺境の未開拓地というホーム・グランドで迎え撃ち、国軍を全滅させた。



 なんて事はない、森なら森に入った軍隊を結界で小分けして酸欠にしてやり、兵站である食糧や水を汚染させ、魔法の杖を粉砕して回るだけだ。

 多重結界内を真空に近づけ、魔法使いや魔術師を狩る。あとは出られない結界内でのサバイバル。指揮官をあえて残したのは仲間割れを狙っての事だ。

 引き込んでは小隊を結界で包み、魔法使い達をデクにして放置。これの繰り返しで前線は停滞するので、後方の守備が綻ぶ。

 何せ相手はたった一人、楽勝と慢心していては士気も低い。手柄は前線のどの小隊かを賭けるくらいにはヤル気も警戒も手薄だ。

 更には、前線の情報が来ないからと伝令役を守備兵力から抽出する始末。

 ウェザーは高くて長い障壁を展開し、お偉いさんがいるテントへ、障壁の下敷きにして一網打尽にする。魔法使いが張った障壁が少し耐えるも、大気圧と重力によって重さが増した特製の障壁からは逃げられない。



 領地に留まった軍隊は、農民に変装したウェザーを雑用係にする。

 一人一人を個別の家や路地裏に呼び寄せ、不審者役の分身と対峙する真横から魔術で意識を刈り取る。

 そうして現場の責任者である王女を確保し、自宅にて軟禁する。軟禁というか、ただ鍵を閉めただけで見張りとかはいない。

 しばらくして抜け出した王女は、助けを求めてギルドに向かう。が、ギルドの入口付近にいたテンプレ・イベントを巻き起こすかませな冒険者に絡まれ、一発殴られた際、内臓破裂で死んでしまった。

 これにはウェザーもびっくりしたが、死ぬ覚悟があってこんな所まで来ているのだから、仕方ないと開き直った。

 王女の死体と国軍兵士のタグを、首都まで運ぶようにギルドへ依頼する。

 配達したかませな冒険者はその場で斬首。最後まで王女だとは思っていなかった残念な冒険者だった。

 国王は信頼出来る冒険者を呼び、ウェザーの暗殺を依頼する。



 軍隊を全滅させた後、ウェザーは魔術を用いて高度一万メートルに留まる。障壁を足場に、防風の魔術と千里眼の魔法で眼下を見て回る。

 暗殺者は高所、夜間、確実性の為不意打ちによる接近戦を好む。高所と接近戦は潰したので、しばらくは動けないはず。

 領地へと近寄る見ない顔に警戒する必要があるので、高度一万にて籠城する。



 一週間後、動きがあった。

 高ランクの冒険者がやって来たので、兄が対応している。

 あくまでもウェザー個人との問題なので、取り潰しとかにはならない。もし国王の命令で取り潰しとなったら、貴族達の反発も大きい事だろう。

 更に三日が経つと、高ランクの冒険者パーティーは、兵士の死体を集め終えてマジック・バックへと収納する作業が終わった。

 暗殺者ではないかもしれないが、ものは試しとウェザーはソーサラーの女性の真上から岩を落としていく。

 最初は障壁で防がれたが、後続の岩による重みで割れて、女性はひき肉に変わり果てた。

 やはり物理、物理は魔法を上回る。下手に魔法使いを残すと取り逃がす事になるので、ヒーラーよりも先に潰す。回復職は指揮と回復の仕事が主なので、脅威度は魔法使いより劣る。

 剣士が弓矢を構えるも、一万メートルも上空の光学迷彩モドキの障壁はわからない。

 盾職と剣士は降ってくる岩を避けるも、岩は砂の塊となり落下後の摩擦熱で粉塵爆発して巻き込まれる。

 斥候は爆発による倒木に巻き込まれた。元々切れ込みを入れていたので、突風を吹かせれば好きな方向へと倒せる初歩的な罠だ。

 ヒーラーは恐慌状態で逃げ惑う。治療放棄するヒーラー等不要。水の塊を落として溺死させる。

 高ランクの冒険者パーティー全滅により、暗殺失敗。



 ウェザーは精霊達と共に王城へと乗り込む。

 貴族の一人としてではなく、国民の一人として報復するのだ。

 国から命を狙われる以上、国も亡国となる覚悟があるはず。国の代表たる王が、まさか命が惜しいとは言うまい。

 衛兵も宮廷貴族も近衛も蹴散らしつつ、魔法師団へ高高度からの落石、からの爆破で動きを止め、結界を張って真空に近づけていく。

 それでも生き残る者は地面や床の摩擦係数をゼロに近くして、骨が脆くなる魔術で転倒したら骨折するようにする。

 ポーションがあるとはいえ、痛みは減らない。何度も転倒しては骨折し、激痛に耐えながらポーションを飲むのは拷問だ。

 こうしてウェザーはたった一人で城を落とした。比喩でもなく、本当に城を浮かせて、高度一万メートル上空から落としたのだ。

 国王と王子、王妃は貴族達に囲まれて責任の擦り付け合い、王太子が代理で国家運営をする。



 ウェザーは学園退学、貴族籍除外、国家追放、国際指名手配、全てのギルド出禁となった。

 放浪の果てに落ちぶれた小国を占領して、旅先で出会った追放仲間達と仲良く暮らし、スローライフを満喫して大往生する。

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