第12話 教室の机の下、ルイの手が“間違って”

「やっば……完全に見つかる寸前だったじゃん……」


俺は机の下、ルイと身を寄せ合いながら、こっそり息をひそめていた。


教室には、女子グループが数人。


「ねー、ルイってさ、陽翔とマジで付き合ってんのかな?」


「うそー、でも最近ずっと一緒にいるしー」


(今その本人たちが、机の下にいるって知らずによく喋れるな……!)


俺の心臓はもう爆発寸前。


そして、それを聞いていたルイのほうは——


(……なぜか、ニヤニヤしてる)


「……ふふ、やっぱバレかけてるね。これはもう、“決め手”が必要かも♥」


(決め手って何だよ!?)


そのとき。


ルイの手が、俺の太ももに「ちょん」と触れた。


「ひゃっ!?」


「あ、ご、ごめん。バランス崩しちゃって……」


と言いつつ、ルイの手はそのまま滑るように、

内もも→股間へと、自然に……いや、完全にワザとだろ!


(ま、まままままって!?!?!?)


机の下、誰にも見えない安心感からか、ルイの手はどんどん大胆になっていく。


「……陽翔、また“してる”?」


「う、うるさい! そりゃ……こんな状況じゃ……!」


「ふふ♥ なんか……すごい。手でわかるくらい、大きくなってる……」


「し、静かに……っ!」


女子たちの話し声がすぐ上から聞こえる。


「ねー、トイレ行こー」「うん、出よっかー」


(ああ……お願い……早く出てって……!)


その間にも、ルイの手が“そこ”に触れたまま。


「……ねぇ、これって、“間違い”じゃすまないよね?」


囁くような声が、耳元をくすぐる。


「陽翔、私のこと好き……でしょ?」


「……そりゃ、好きだけど……」


「じゃあ、もっと……触れてもいいよ」


「今はやめろっ!!!」


やっと女子たちが教室を出て行って、俺とルイは机の下から這い出す。


「……はぁ、心臓止まるかと思った……!」


「でも楽しかったでしょ?」


ルイはケロッとした顔で笑ってる。

なんならちょっと、うっとりしてる。


「だって、好きな人の反応、目の前で感じられるって……最高じゃない?」


「お前なぁ……!」


ルイが俺の手を握る。


「……ね、陽翔。さっきの続き、今度こそ……ちゃんとしよう?」


「……どこでだよ」


「ん〜、次は……私の部屋とか?」


「ちょ、おい、それはほんとに危険すぎる……!」


ルイは笑って、

俺の耳元にもう一度、ふわりと囁いた。


「私、陽翔の全部が……知りたいんだよ♥」

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