杏はここで別れる際に一番してはいけないことをしてしまった。


それはあっさり別れを受け入れられず縋ってしまったこと。


杏は弱かったのだ。


「もう帰る」と言ったれいに何度もしがみついて離さなかった。


そのくらい杏にとってのれいは大きい存在だった。


「じゃあ、もうわかった。あと30分だけ恋人でいさせて」


れいは最後の願いをあっさり聞いた。

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