第20話 みんなで朝食、もふもふ日和
翌朝。
前夜の出来事のおかげか、エレノアは朝食の席に満面の笑みで現れた。
これには父のグストも母のクラリスも、「おお、エレノア、いい顔してるじゃないか!」と驚きを隠せない。
メイドのリリアは何も言わないが、チラリと僕に視線を送ってくる。
その瞳は、「やったわね、リウス坊ちゃま」と言いたげだった。
「ふふ、どうしたのエレノア? 最近元気なかったのに、いきなり吹っ切れたの?」
「まあ、ちょっとね。私、やる気が出てきたのよ。学園で何を言われたって、リウスが応援してくれてるから負けないわ」
エレノアはそう言って胸を張る。
その表情には昨夜までの陰りが嘘のように消えている。
父が「ははは! そうか、まあお前には闇魔法の才能もあるし、王都の連中なんか蹴散らしてやれ!」と豪快に励まし、母は「そうよそうよ、馬鹿にされたって、家族は応援してるわ」と嬉しそうに目を細めた。
そして僕はというと、赤ちゃん用のベビーチェアに座ってミルクを啜りながら、「がんばりょー!」と声を上げる。
エレノアがにっこり笑いながら僕に手を伸ばして、「リウス、今朝は調子どう?」とほっぺをむにむにしてくる。
僕はそれが嬉しくて、足をバタバタさせる。
「そうだわ、リウス。昨日部屋に来てくれて……その……ありがとうね」
「は、はいでしゅ!」
思わず笑みが溢れそうになるが、赤ちゃんの僕には「にへら」とした表情くらいしかできない。
でもエレノアはわかってくれたようで、さらに頬をプニプニと刺激してくる。
ここで、もふもふの相棒が登場。
フェルがテーブルの足元に「わん!」と駆け寄ってきた。俺にも挨拶させろ、と言わんばかりに尻尾を振っている。
僕は「あい!」とフェルを呼び、僕の足元に鼻先をくっつけて甘えてくる。
「わんわん!」
「うふふ、フェルもリウスが大好きなのよね。ほら、リウス、撫でてあげて?」
エレノアが優しく微笑みながら提案。
僕はテーブルから上体を乗り出し、何とか手を伸ばしてフェルの頭に触れる。
ふかふかの毛が手のひらに心地いい。
この瞬間が最高の癒やしで、僕は足をジタバタさせて喜ぶ。
フェルは「くぅん……」と甘えた声を出し、尻尾を全力で左右に振っている。
そのもふもふぶりに、僕は思わず顔をうずめたくなるが、ベビーチェアに座っているので上体が届かないのが残念だ。
そんな光景を見て、父と母がにこやかに笑みを交わす。
何とも和やかな朝だ。
昨夜まではエレノアが沈んでいて、空気が重かったのに、一気に晴れ渡ったように感じる。
僕は改めて、破滅を回避したと実感した。
―――
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【書籍化決定】悪役貴族に転生した僕、家族を救うために水魔法を極めて破滅回避する! 空月そらら @Soraran226
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