奇妙なキャンプ場②



ログハウスは二階建てで、中はそんなに広くない。


…もしかして、このキャンプ場には普通のキャンプサイトだけでなく、こういうログハウスがどこかに存在するんだろうか。

そう思いながら室内をキョロキョロとしていたら、奥の方から60代くらいの男性が出てきた。


「はーい。こんにちは」

「あ、どうも。予約した竹原です」

「はいはい。えー…1サイト1泊で予約されてますね」

「ハイ、そうです」


…簡単な受付を済ませて、たったの500円を払う。

ゴミ袋は無料で貰えるというから、何だか得をした気分だ。

このキャンプ場は見たところ個人経営っぽいが、果たして利益はちゃんとあるんだろうか、と心配になってしまうほどだ。


今日はいていると言われて、全部で30ほどあるサイトから好きな番号を選ぶことができた。

そしていざその場に向かおうとしたが、俺はその前にオーナーに聞いてみる。


「あの、ここってログハウスとかの施設もあるんですか?」

「ありますよ。1棟1泊で1万円。だいたい5~6人で1棟泊まれますかね」

「1人1万ですか。うーん…」

「いやいや、ウチは人数とか関係ないんで、あくまで1棟1泊で1万円なんですよ」


そのまさかの金額に俺は目を見開くと、思わずそのオーナーに言う。


「え、じゃ…じゃあ、5人で泊まろうが6人で泊まろうが1万円なんっすか」

「そうそう」

「え、テントサイトの方もそうですけど、それじゃああまりにも安すぎませんか?オーナーさん、ちゃんと元取れてます?」


俺が思わずそう問いかけると、オーナーが笑って言った。


「だーじょうぶ、元がしっかりとれているからこの値段なんだよ」


…そうかぁ?

でも、オーナーが言うからには平気なんだろう。


俺はその後一言二言会話をしたあと、やがて受付を後にした。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る