第16話 サバ子ちゃん現る!
野球部君を密かに思い続けたまま季節はめぐり、三学期を迎えた席替えで、カナエは、とある女子と席が近くなった。
「バレー部で、背が高くてショートカットの子でね、自分はサバサバしてるから女子より男子の方が気が合うんだって公言していたわ」
「それ、一番サバサバしてないタイプの女子ですねぇ」
いるいるぅと、顔をしかめた私をおかしそうに眺め「サバ子ちゃんにするわね」と桜井さんがあだ名をつけた。
ある日の放課後、突然サバ子ちゃんがカナエに話しかけてきた。
「カナエってコウタと仲いいよね。好きなの?」
「え? ないない」
「ほんと? 良かったー。実はあたし、アイツのことが好きなんだよね。仲良くなるの協力してくんない?」
「そんな風に頼まれちゃって」と桜井さんが、頬に手を当てて眉を下げた。
「いますよねー、そーゆー女子」
「わかる? 泉ちゃんの周りにもいる?」
「めっちゃいますよ」
橘がらみで。
もはやブルドッグよりしかめっ面の私に、桜井さんがおかしそうに笑って続ける。
「そんな風に言われたら、私も断れなくて」
「ですよねー」
サバ子ちゃんめ。やりおる。
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